作戦実行
城の抜け方は、ギルから聞いていた。城には正門他に抜け道があるようだ。また、レナなどの案内人(監視人)は夕方から朝の間のみの監視を担当しているらしく、昼間は特に監視はされていないようだ。
怪しまれないように、昼食を食べた後に、城を抜け出す。
昼食を早めに済ませ、ギルに指示されたルートを俺たちは早足で進んだ。ギルが何かしてくれたのか、そのルートでは全然人がいなかった。
もう少しで城を出れそうと思ったその時、俺の危険察知が反応した。その数秒後正面の建物から神父が出てきた。
「さて、お二人様このような所に何用でいらしたんですか?」
ここで神父と鉢合わせるなんて。
「い、いやー、俺たち昼食を食べ終わって時間があったので、城を見て回ってたら偶然ここに辿り着いたんです。」
「そうですか、ここはあなた達の昼食会場とはかなり離れてるはずですが……」
神父は俺たちにきつい疑いの目を向ける。これは絶対絶命だと思っていると、黒川が口を開いた。
「実は私たち秘密裏に付き合っているんです。なので、他のクラスメイトに気付かれないように離れた場所まで来ていたんです。」
黒川の意外な発言に俺は内心驚いていたが、乗ることにした。
「そうなんですよ。ちょっとまだ恥ずかしくて。あはは……」
「そうですか。それと、黒川さんでしたか、あの光のことについて何か思い当たる事はありますか?」
「いや、私自身もよく分からなくて……」
とりあえず何故ここにいるかは誤魔化せたみたいだ。
しかし、神父は黒川の光について、色々聞きたいようだ。これはまずい。話が長引けば計画が狂ってしまう。どうにか抜け出さなければ。しかしどうすれば。
「おーい、神父さんよー。」
遠くからギルがきた。
「ちょっと、あの事で用があるから、来てくれないですか。」
そう言って、ギルは神父を連れていってくれた。
「よし、行こう。黒川さん。」
「そうね。」
こうしてギルのおかげもあり、俺たち2人は城を抜け出す事ができた。