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残念エルフ姫ってなんですか?! そんなの聞いてませんけど…… 【神世界転生譚】ユウナと不思議な世界  作者: Resetter
五章 : スヴァルト暮らし

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98. お茶会……!?



 ついに、アーナやお付きのひとだけではなく、言法(セイズ)部隊長ミーミルさんにまで、私の正体がバレてしまったようです!



 アルヴ国については詳しく分かりませんが、たぶん、国の重要なひとだと思うんですよね……。


 

 会談の時の感じだと、レーナ王妃側ではないとは思うんですけど……


 とはいえ、お父さんだって信じていいものか分からないのに、その側近? のひとなんてもっと危ないかもです。



 「……ふぅむ。ラーズ王……やはり侮れない御方ですね……」


 ミーミルさんは顎に手を当てて、そんなことを言っていました。



 「ユウナ姫。少々お尋ねしたいことがありますので、ご一緒いただけますか?」


 そう言ったミーミルさんの表情は、やわらかい笑顔ではありました。


 でも、その笑顔の裏に何かあるのかも……?



 私が言いよどんでいると、スッとリトが一歩前に出て、

 

 「……ゆ、ユウナに何かする気ですか……?」


 と、言いました。



 「リト」


 「このひと、かなりの力を感じる……ユウナは不利だと思うから……わたしがなんとか……」


 リトには、ミーミルさんの実力が、なんだか分かるようでした。


 私には精力の流れだとか強さだとかは分からないので、出たとこ勝負だし、詠唱の隙をつく戦法しかないんですよね。


 リトの言うように、不利なのかもしれませんね。

 

 

 「おっと……水色髪のお嬢さん、ユウナ姫に危害を加えるつもりはありませんよ。それに、私もあなたに無傷で勝てる未来が見えませんからね。ご心配ならあなたもご一緒にどうぞ」


 ミーミルさんは、スッと両手を上げながらそんなことを言って、フッと頭を下げました。

 


 「おい! 貴様! 俺様を差し置いて勝手に話を進めるな!」


 そんなミーミルさんに、リーグ王子は相変わらずな感じの反応です。


 

 「これはリーグ王子、失礼いたしました。せっかくですから、庭園でお茶会でも開かれては? レディがたも喜ばれましょう」


 やっぱりミーミルさんは冷静な感じで、変なことを言い出しました。やめてください。

 


 「む……貴様、なかなか良いことを言うな。ん? でも貴様も参加するつもりなのか?」


 「いえいえ。私はユウナ姫に聞きたいことがあるだけでございますよ。アーナ様を放置もできませんしね……」


 ミーミルさんは、チラリとアーナたちに視線を向けました。



 「むっ! ミーミルはなまいきなのだ! えらそうなのだ! きらいなのだ! ばーかばーか!」


 暴言を投げつけるアーナに、ミーミルさんは小さく苦笑い。軽く両手を広げました。


 「ご覧いただいている通りですよ、リーグ王子」


 

 「う、うむ」


 さすがのリーグ王子も、引き気味にあきらめ顔でした。



 「まぁ、そういうことならば仕方あるまい。よし、茶会といたそう。さぁユウナ! 行こうではないか!」


 でも、なんだか急にやる気に満ちた顔をしていました。すごく嫌ですね……。



 「あの、私たちは探検に行くところなんですよ。ほら、ムクとロラもいますよ?」


 ムクとロラと、ムクの上にちょこんとエメが乗って、少し離れたところからじーっとこっちを見ています。とてもおさんぽを楽しみにしている犬のようです。


 

 「む? そんなもの、茶会の後にすればよいではないか。ミーミルとやらも話があるそうだぞ? 今後に障るのではないか?」


 リーグ王子は、にやぁーっとしながらそんなことを言いました。いつもの脳筋はどうしたんですか! こんな時だけラーズ王っぽくしないでください!


 


 「ふふ。ユウナ姫。御身に害することはありませんよ。ご安心ください」


 ご安心くださいと言われましても……ミーミルさんはアルヴ国の王家に仕えるひとですからね……?

 


 「ユウナ……どうするの?」


 「むー。行くしかないっぽいよね……すごーくヤだけど……」


 ダメだとは思ってるんですけど、大きなため息が……。



 「ムクたちも一緒でいいですよね?」


 「む、まぁよかろう」


 なんだかリーグ王子はしぶしぶといった顔でした。なんでですか。



 

――――

――




 南に向かうはずだった私たちは仕方なく、本当に仕方なく……交差点を右ではなく左に曲がって、北の王城へ向かいました。


 

 そして、お庭に案内されました。


 

 「……わぁー! すごー! 見て見てリト! すごいよ!」


 「……ちょ、ゆ、ユウナ、そんなはしゃいだら……」


 「キュアー!」 「キュッ! キュイッ!」 「クエーッ!」


 緑のフカフカした地面に、整えられた背の低い木、色とりどりの花壇、広くてとっても素敵なお庭でした!


 ムクたちも喜んでます! とてとて走って嬉しそうですね!


 


 「ユウナ姫様、お席はあちらにご用意してございますが……」


 お城勤めのスヴァルトの女性が、案内してくれるようです。



 今、リーグ王子はなんだか係のひとに任せてどこかに行ってしまいました。


 そしてミーミルさんは、アーナたちを逃がさないようにしてくるとか言って、やっぱりお城の中に行ってしまいました。


 なので! つかの間の自由なのです!



 とはいえ、呼ばれてしまったので、ついていかないと案内係のひとに迷惑をかけてしまいますからね。


 しぶしぶついて行くのです……!




 広いお庭を奥に進むと、さっきまでの洋風に近いお庭の風景からガラッと変わって……


 和風庭園みたいな、お城の見た目にピッタリなお庭がありました。



 空気まで変わったみたいに、しんと澄んでいるようでした。




 「あちらで王子がお待ちです。ルクたちはお預かりいたしますので、どうぞお進み下さい」


 「あ、はい。ありがとうございます。……リト、いこっか」


 「う、うん……」



 真っ白な砂利がしきつめられたお庭に、黒い石の足場が造ってありました。



 その上をとことこ歩いて進むと、赤い大きな傘が立っていて、その下に木製のテーブルとベンチのようなものが。



 ベンチは、上に布のようなものが敷いてあるようです。



 奥側のベンチに、リーグ王子が座っていました。



 「おお、ユウナ。来たか。」



 リーグ王子、何しに行ったんだろうと思ったら、着替えてきてたんですね。


 いつもは高そうな服を着ていることが多いのですが、さっきもそうだったんですけど、今は和服姿です。


 「さぁさぁ、座るがよい!」


 リーグ王子は、なんだか嬉しそうなんですが……


 ミーミルさんはまだですか?


 私は、ミーミルさんに強引に連れてこられたんですよ!


 リーグ王子に用はないんですけど?!



 とはいえ、立ったまま遠巻きに待っているのも、なんだかおかしい気もするので、リトとアイコンタクトして、大人しく座ることにしました。

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