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残念エルフ姫ってなんですか?! そんなの聞いてませんけど…… 【神世界転生譚】ユウナと不思議な世界  作者: Resetter
五章 : スヴァルト暮らし

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96. アーナ登場



 スヴァルト王都の街で、一番大きな交差点。


 お出かけを楽しみに歩いていた私たちを襲った、突然の悲劇 (?)


 

 ナゾの幼女突撃事件勃発?!



 ズザーっと派手にヘッドスライディングをしていた幼女は、ピタッと止まって動きません。


 「あ、だ、だいじょうぶ……?」


 と、おそるおそる声をかけたのですが……



 「ひっ……姫様ぁー!!」


 という大音響でかき消されてしましました。



 「「ひめさま?!」」


 そして、リトと驚きの声がハモッてしまって、2人顔を見合わせます。


 リトも、とてもぽかんとしています。



 「ね、ねぇユウナ、いま、ひめさまって……」


 「う、うん。きこえた……」


 ちょっと……いや、だいぶ嫌な予感がしまくりです。


 は、早く逃げたほうがいいかな……?



 「姫様っ! ご無事ですかっ!」


 アルヴ族の女性が、道に寝たままの幼女に駆け寄りました。



 「うう……うああああああああん!!!!! いだいのだぁぁぁぁぁ!!!!!」


 そして抱き起された幼女は、泣き叫びました。


 ひぇぇ~~~~!? こ、これ私マズいんじゃ……?!


 どどどどうしよおおおおおおおお……



 「姫様っ! お気を確かにっ! そのようなことではアルヴ国を治めるなど到底適いませぬ。いまこそ王族の威厳を、威光を示す時でございますよっ!」


 おそらくお付きのひとなんだろうアルヴ族の女性は、どうにも無茶ぶりをしているようすでした。

 


 「いだいのだぁぁぁぁぁ!!!!! いだいのだぁぁぁぁぁ!!!!!」


 当たり前なんでしょうけど、幼女は泣き止みません。


 


 「あ、あのう……わたし、治癒術得意なので……治癒しましょうか……?」


 リトがおずおずと幼女たちに近づきながら、声を掛けていました。



 うーん、いいのかなぁ……?


 まぁ、リトだけなら正式な旅人だし、いいんだろうけど……私は亡命者だし、あんまり関わるとよくないような気がするけど……


 でも、ちっちゃい子が怪我してるし……


 と、いうか……たぶん、あの子が私の妹なんだよね……?


 ものすごーーーくまずい気がするなぁ……。



 「え? アルヴ族の方が、なぜここに?」


 振り返った女性は、やっぱりな質問をしていました。



 「あ、わたしたちは旅人で。ほら、ルクもいます。」


 リトはニコニコと、そんなことを言っていました。



 「そうなのですか。珍しい髪色ですね。水色ですか……」


 「あ、はい。そうなんですよ」


 リトの髪色は珍しい……というか、同じ色をしたひとはまだ見たことがないです。


 その女のひとはそんなことを言いながら、ふいっとこっちを見ました。


 

 「あら、お連れ様も、ずいぶんと変わった髪色ですね。桜色ですか……」


 「あ、はい……私もちょっと珍しい色なんですよねー……あははー……」


 ……なんとかごまかせたかな?

 


 「え? 桜色? まさか……あなた……」


 アルヴの女性が、ものすごーく怪しむような視線を向けてきた、その時……

 

 「いだいのだぁぁぁぁぁ!!!!! いだいのだぁぁぁぁぁ!!!!!」


 幼女がうるさくなりました。


 

 「ああ、もう、姫様! すいません、旅の方。治療していただけますか?」


 「あ、はい。」


 そして、リトの象言法(インセイズ) による治癒術です。手を傷に当てて、ふわっと光ったなーと思ったら、一瞬で擦り傷が消えていました。


 相変わらずのすごさ!


 ゲイル部隊でも絶賛されてましたからね!


 

 「おお? いたくなくなったのだ! おまえすごいのだ! ほうびをとらすのだ!」


 「あ、いや、ほうびとかは大丈夫なので……」


 復活した幼女は、なんだか偉そうな感じでした。


 

 「なにをいうのだ! わたくち、アルヴのあととりなるぞ! ちゅうぎにはむくいろと、おとうさまにいわれておるのだぞ!」


 幼女、お付きのひとの腕の中で、とても元気そうでした。


 見た感じ、人間の2歳児くらいの大きさですかね? 希望の木を植えてすぐだと、普通はこんな感じなんだなぁ……。


 

 「あ、そうなんですね……でも、わたしは別に……」


 リトは、とっても遠慮がちにしていました。あの顔は困ってる時の顔ですね……。


 助けてあげたいけど、正直私の存在がバレちゃう方がマズイと思うんですよね……。


 あの王妃の感じだと、下手したら戦争になるかもだし……。


 

 「まぁまぁ、旅人様。こちらの御方は、アルヴの次期後継のアーナ様ですよ。旅人であるなら、繋いでおきたい縁でございましょう?」


 お付きのひとは、そんなことを言いながらニヤッと笑っていました。


 リトも、私の事情は全部知ってるので、アルヴの王室については、あんまりいい感情を持ってないような気がするけどなぁ……? あの時も、一緒に追われたわけだし……。



 「わたしは旅人ではありますけど、スヴァルト国を中心に回っていますから、だいそれた縁はいらないというか……」


 リトはだんだんと声が小さくなってしまいました。知らないひと相手だし、しかたないですね。



 「ときに、そちらの方……」


 ふぇ?! わ、私……?!



 「あなたも、王家とのご縁は貴重だと思いませんか?」


 あ、まだバレてない……?



 「い、いやぁ? わ、私もちょっと……そんな……普通に暮らせればじゅうぶんなのでー……」


 いやほんと! そっとしておいてください! も、もう探検行きたいし!


 

 「んん? さくらいろのかみ……? きいたことがあるような……?」


 あああ、なんか幼女まで……?!



 「んー……」


 幼女が首をかしげていました。コレはチャンスです!



 「あ、じゃあ、私たちは街の外に用があるのでー……これでー……」


 「あ、わたしも……これで……」


 リトとアイコンタクトをしながら、そろーりとその場をあとに……



 「む! どこへいくのだ! なまえぐらいなのっていかんか!」


 あああ、脱出失敗! 幼女に気付かれてしまいました!



 「ああ、アーナ様。桜色の髪と言えば、廃嫡となった姉君ですよ。」


 「おお、そうだったのだ! えーと、ユウナだ! むのうひめユウナ!」



 あああ、やっぱり知ってるぅー……!


 たぶん、あのレーナ王妃だろうなぁー。


 

 ふと、リトをみたら、ちょっとプルプルしていました。


 あー……これ、怒ってるなぁ……。別に怒らなくってもいいのに……。

 

 私が欠陥品なのは、変えられない事実なんだし。誰に何を言われたって、毎日がんばって生きればいいだけだし。


 私は、リトが一緒にいてくれるから、それで幸せなんだけどな。スヴァルトのひとたちも、よくしてくれるしね。


 

 と、そっとリトの手を握りました。


 やっぱり、ちょっと熱くなってた。



 「……あ、ユウナ……」


 あ。

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