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残念エルフ姫ってなんですか?! そんなの聞いてませんけど…… 【神世界転生譚】ユウナと不思議な世界  作者: Resetter
五章 : スヴァルト暮らし

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84. リーグ王子vsヴィスナさん

 


  訓練場の真ん中で、どんと胸を張るヴィスナさん。


  そして、その前には、リーグ王子。


  今日はリーグ王子……訓練前に絡んできちゃって、まいたはずがついてきちゃってたみたいで。


  こんなことになっちゃったんですよね。


  あぁ〜。しっかり眠ってもらってた方がよかったかなぁ……。


  でも、極力触りたくないんですよね……。なんだか気持ち悪くて。


「ねぇ……ユウナ。ヴィスナさん大丈夫かな? リーグ王子、大きな斧だけど……」


  リトは、少し不安そうな顔をしていました。


「あー。王子、斧なんだよねぇ。楯で防げるかなぁ? うーん。でも、ヴィスナさん隊長なわけだし、多分ヒルドルさんとかカーラさん並に強いんじゃないかな?」


  ヴィスナさんの楯は、湾曲してて、それなりの大きさの楯でした。


  小型でもなく、大型ほどまでは大きくない感じですね。


  どうやって使うんだろ?


「そっか……。そうだよね。ユウナはリーグ王子と決闘してたけど、やっぱり隊長さんたちの方が強かった?」


  う……。それはあんまり思い出したくない話……。


「うーん。種類が違うけど……あと、リーグ王子のは思い出したくないんだけど……。技の完成度っていうのかな? リーグ王子は力任せって感じだったけど、やっぱりヒルドルさんもカーラさんもすごかったよ。ものすごい精度。」


「そうなんだ……。ユウナ、よく勝てたね……?」


「うーん。たまたま2人とも、格闘術を知らなかったしね。隙をついて……って感じだよねー。その、高い精度を逆に読んで……みたいな。」


「そっかぁ……」


  そもそも私のやわらか格闘術の極意? お母さんからの教えは、そんな感じなので。


「さぁてと! 準備はいいのかい? 色ボケ王子!」


「くっ……貴様! 俺様をバカにしおって……!」


「はははっ! ちょっと前まで"余"とか言ってたくせにさぁ? 俺様ぁ? なんの影響なんだっつの! 俺様……っ! あはは!」


  ヴィスナさん……リーグ王子嫌いなのかな? ものすごく煽り散らかしてる……。


  それとも作戦かな? わざと怒らせるとかいう作戦。


  ちょっと高度だから、私には出来ないと思うけど。そういうことも、出来た方がいいんだろうなぁ……。


「く……こ、この……! 俺様系はモテるのだ!」


  王子はそう言い放つと、一気にヴィスナさんに詰め寄り……


  「あはは! モテるやつがこんなことしてるかっての!」


 ――ドォン!


  上段から重く鋭い一撃を放ちました。


「はははっ! 甘いんだよぉ! 勘違い色ボケ王子様よぉ!」


  でも、ヴィスナさんは、楯を構えてたなぁと思ったら、斧に触れた瞬間、するりと滑らせて……


 ――ゴッ!


「ぐうっ……?!」


  王子の斧が地面に突立ったと同時に、楯で顔面をバコンと叩きました。


  なるほど! あれがブロックルさんの言ってた受け流し!


  ものすごく流麗な動きでした。


  ヴィスナさんの豪快な性格だと、受け止める型なのかと思ってましたけど、違ったみたいです。


  全く無駄のない、洗練された美しい動きです!


「うおおおおぉ!」


 ――ブォン!


  再び王子は、刺さった斧を勢いよく振り上げて逆袈裟の軌道を描いた……はずなんでしょうが。


 ――カシュッ!


「……んなっ?!」


  ヴィスナさんの楯に阻まれて、軌道をそらされてしまいます。


 ――バカァン!


「ぐぉっ……」


「あっははは! 頭がお悪いご様子だからねぇ……叩いて直さないとねー!」


  ヴィスナさんの楯が、王子の脳天を捉えました。


  ……叩いて直すって、昭和のテレビみたい。


  あ、でも、テレビないし、鍛冶屋さんかな?


  んー。


  でもそれなら、もう王子は溶かした方が早い気がしますねぇ。


  素材に戻して打ち直しですね!


「くそ……くそ……くそがぁ! 楯なぞは臆病者の象徴! 俺様が負けるはずが……! ないっ!」


 ――ブォン!!


  王子の渾身の一振。


 ――カシュッ……


  でも、ヴィスナさんの楯に触れると、王子の斧は空を斬り、宙に舞いました。


 ――バゴッ! ドガッ! ゴスッ!


「ぐっ……がっ……こっ……んのっ……」


  ヴィスナさんは、容赦なく王子を楯で殴りつけています。


「どーかなー? ちょっとは直ってきたかぁ? んー……もっとかぁー? よっ! ほい! そら! どうだー?」


  なんだか、ヴィスナさん……すごく楽しそうです。


「……ぐっ……な……なにをするか?!」


「あれー? おかしいなー? もっとかー。ほいっ!」


 ――ガッ!


  ひときわ鈍〜い音が響いたなぁーと思ったら、王子はふらふらと1、2歩あるいて、バッタリと倒れました。


  やっぱりヴィスナさん、めちゃくちゃ強いですね。受け流す技術がすごいです。


  うーん。なんであんなにすごい技がバカにされてるんですかね?


  やっぱり、スヴァルトは攻撃! って感じなんですかねぇ?


  パーティ会場でヴィスナさんが自己紹介してくれた時の言葉……


  楯術は、最先端! という話。これを見れば納得ですね。


  これ、楯を使うか使わないかは置いておいて、技術は学んだ方が、元の武術もかなりレベルアップすると思うんだけどな……?


  なんだかもったいないなぁ……と、私は思いました。


「おーい! 誰かー」


「はっ!」


「コレ、城に届けといて。」


「承知!」


  ヴィスナさんに呼ばれた隊員さんが、王子を抱えて行き……引きずって行きました。


  さようなら、王子。もうこないでね。


「よー、ユウナ姫、リト殿。どうだった? 楯術。」


「か……かっこよかったです……!」


  リトは目をキラキラさせていました。


「すごい技術でした! ヴィスナさんが言ってた言葉、ほんとだったんだなって」


「はははっ! 2人にいいとこ見せれてよかったよ! そういう意味ではあのバカ王子も役に立ってくれたな!」


  そう言ってヴィスナさんはからからと笑っていました。


  うーん。ヴィスナさんも、すごくかっこいいなぁ……。


  これは、訓練が楽しみですね!

お読みいただけまして、ありがとうございました!

今回のお話はいかがでしたか?


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また、連載のモチベーション維持向上に直結いたしますので、すぐ下にあります☆☆☆☆☆や、リアクションもお願いいたします!


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王子の辛辣に扱ってもいい感じがいいですねえ 不快感がなく、コロコロとゆうなの気持ちを変えていく、すごくいいキャラクター!
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