表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/101

リーグ王子vsヴィスナさん



訓練場の真ん中で、どんと胸を張るヴィスナさん。


そして、その前には、リーグ王子。


今日はリーグ王子……訓練前に絡んできちゃって、まいたはずがついてきちゃってたみたいで。


こんなことになっちゃったんですよね。


あぁ〜。しっかり眠ってもらってた方がよかったかなぁ……。


でも、極力触りたくないんですよね……。なんだか気持ち悪くて。


「ねぇ……ユウナ。ヴィスナさん大丈夫かな? リーグ王子、大きな斧だけど……」


リトは、少し不安そうな顔をしていました。


「あー。王子、斧なんだよねぇ。楯で防げるかなぁ? うーん。でも、ヴィスナさん隊長なわけだし、多分ヒルドルさんとかカーラさん並に強いんじゃないかな?」


ヴィスナさんの楯は、湾曲してて、それなりの大きさの楯でした。


小型でもなく、大型ほどまでは大きくない感じですね。


どうやって使うんだろ?


「そっか……。そうだよね。ユウナはリーグ王子と決闘してたけど、やっぱり隊長さんたちの方が強かった?」


う……。それはあんまり思い出したくない話……。


「うーん。種類が違うけど……あと、リーグ王子のは思い出したくないんだけど……。技の完成度っていうのかな? リーグ王子は力任せって感じだったけど、やっぱりヒルドルさんもカーラさんもすごかったよ。ものすごい精度。」


「そうなんだ……。ユウナ、よく勝てたね……?」


「うーん。たまたま2人とも、格闘術を知らなかったしね。隙をついて……って感じだよねー。その、高い精度を逆に読んで……みたいな。」


「そっかぁ……」


そもそも私のやわらか格闘術の極意? お母さんからの教えは、そんな感じなので。


「さぁてと! 準備はいいのかい? 色ボケ王子!」


「くっ……貴様! 俺様をバカにしおって……!」


「はははっ! ちょっと前まで"余"とか言ってたくせにさぁ? 俺様ぁ? なんの影響なんだっつの! 俺様……っ! あはは!」


ヴィスナさん……リーグ王子嫌いなのかな? ものすごく煽り散らかしてる……。


それとも作戦かな? わざと怒らせるとかいう作戦。


ちょっと高度だから、私には出来ないと思うけど。そういうことも、出来た方がいいんだろうなぁ……。


「く……こ、この……! 俺様系はモテるのだ!」


王子はそう言い放つと、一気にヴィスナさんに詰め寄り……


「あはは! モテるやつがこんなことしてるかっての!」


――ドォン!


上段から重く鋭い一撃を放ちました。


「はははっ! 甘いんだよぉ! 勘違い色ボケ王子様よぉ!」


でも、ヴィスナさんは、楯を構えてたなぁと思ったら、斧に触れた瞬間、するりと滑らせて……


――ゴッ!


「ぐうっ……?!」


王子の斧が地面に突立ったと同時に、楯で顔面をバコンと叩きました。


なるほど! あれがブロックルさんの言ってた受け流し!


ものすごく流麗な動きでした。


ヴィスナさんの豪快な性格だと、受け止める型なのかと思ってましたけど、違ったみたいです。


全く無駄のない、洗練された美しい動きです!


「うおおおおぉ!」


――ブォン!


再び王子は、刺さった斧を勢いよく振り上げて逆袈裟の軌道を描いた……はずなんでしょうが。


――カシュッ!


「……んなっ?!」


ヴィスナさんの楯に阻まれて、軌道をそらされてしまいます。


――バカァン!


「ぐぉっ……」


「あっははは! 頭がお悪いご様子だからねぇ……叩いて直さないとねー!」


ヴィスナさんの楯が、王子の脳天を捉えました。


……叩いて直すって、昭和のテレビみたい。


あ、でも、テレビないし、鍛冶屋さんかな?


んー。


でもそれなら、もう王子は溶かした方が早い気がしますねぇ。


素材に戻して打ち直しですね!


「くそ……くそ……くそがぁ! 楯なぞは臆病者の象徴! 俺様が負けるはずが……! ないっ!」


――ブォン!!


王子の渾身の一振。


――カシュッ……


でも、ヴィスナさんの楯に触れると、王子の斧は空を斬り、宙に舞いました。


――バゴッ! ドガッ! ゴスッ!


「ぐっ……がっ……こっ……んのっ……」


ヴィスナさんは、容赦なく王子を楯で殴りつけています。


「どーかなー? ちょっとは直ってきたかぁ? んー……もっとかぁー? よっ! ほい! そら! どうだー?」


なんだか、ヴィスナさん……すごく楽しそうです。


「……ぐっ……な……なにをするか?!」


「あれー? おかしいなー? もっとかー。ほいっ!」


――ガッ!


ひときわ鈍〜い音が響いたなぁーと思ったら、王子はふらふらと1、2歩あるいて、バッタリと倒れました。


やっぱりヴィスナさん、めちゃくちゃ強いですね。受け流す技術がすごいです。


うーん。なんであんなにすごい技がバカにされてるんですかね?


やっぱり、スヴァルトは攻撃! って感じなんですかねぇ?


パーティ会場でヴィスナさんが自己紹介してくれた時の言葉……


楯術は、最先端! という話。これを見れば納得ですね。


これ、楯を使うか使わないかは置いておいて、技術は学んだ方が、元の武術もかなりレベルアップすると思うんだけどな……?


なんだかもったいないなぁ……と、私は思いました。


「おーい! 誰かー」


「はっ!」


「コレ、城に届けといて。」


「承知!」


ヴィスナさんに呼ばれた隊員さんが、王子を抱えて行き……引きずって行きました。


さようなら、王子。もうこないでね。


「よー、ユウナ姫、リト殿。どうだった? 楯術。」


「か……かっこよかったです……!」


リトは目をキラキラさせていました。


「すごい技術でした! ヴィスナさんが言ってた言葉、ほんとだったんだなって」


「はははっ! 2人にいいとこ見せれてよかったよ! そういう意味ではあのバカ王子も役に立ってくれたな!」


そう言ってヴィスナさんはからからと笑っていました。


うーん。ヴィスナさんも、すごくかっこいいなぁ……。


これは、訓練が楽しみですね!

お読みいただけまして、ありがとうございました!

今回のお話はいかがでしたか?


並行連載作品がある都合上、不定期連載となっている現状です。ぜひページ左上にございますブックマーク機能をご活用ください!


また、連載のモチベーション維持向上に直結いたしますので、すぐ下にあります☆☆☆☆☆や、リアクションもお願いいたします!


ご意見ご要望もお待ちしておりますので、お気軽にご感想コメントをいただけますと幸いです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ