スーパーハイテクアフター城!!
前回のお話 : ファンタジックミラクル!
私たち……頑張りました……!!
ああ……例の音楽が聴こえてきそうです……!!
「ああああー! かっこいいー!」
なんということでしょう!
「くかかか……! どうよ、これがドワーフの技ってモンよ!」
ブロックルさんは、ドゥン! と、厚い胸板を叩きました。やっぱりすごく鈍い音がしました。
「いやはや、さすが……素晴らしい仕事ぶり……。やはりアルヴ族の持つ技術などとは、比べるべくもない……!」
ナッビさんも、目をキラキラさせていました。
「……すごいねぇ……。」
リトも、少しうるうるしているようです。とても可愛い顔です。
今! ついに! 屋根がついて、完成したのですよ!
ムクとロラの家が!
「ね! ね! 入っても、入ってもいいですか!」
「あん? 嬢ちゃんがか? ……まぁ、完成確認は要るか……。」
「わーい!」
「あ……おい。」
中に入ってみると……
「わぁー……! 広いし……綺麗だし……何より……快適!」
「くかか……! そりゃ、ナッビの"封入"が使えたからな!」
「いえいえ。私の封入は、あくまで力を込めるものです。リトちゃんの異能ありきですよ。」
「あ……わ、わたしは……そ……その……」
「なんでよぉー! リトの象言法たくさん使ってたでしょー! 私知ってるんだからぁー!」
「そうそう。そうですよ。リトちゃんがいなかったら、なし得なかった事。しっかり誇ったらいいんだよ。」
ナッビさんは、なんだか優しい笑顔でした。
「は……はい。」
リトは、照れたのか、少し顔を赤らめてうつむきました。やはり可愛いですね!
そうなのです! みんなで頑張って、すごいものができたのです!
まずは! この快適さの秘密!
なんとなんと! アルヴヘイムは、気候は基本的に安定してるのですけど……
それでも雨だったり、少し暑かったり、少し寒かったりするのですが……
このお家……自動空調が付いてしまっているのです!
すごいです!
さらにさらに!
「あ、これですか?」
「おう。」
――カチャ……ジョボボボ
「うわぁー! ほんとに出たぁ!」
「そりゃ、そう作ったからな。」
足で踏むと、飲み水が出てくる装置まであるのです!
そしてそして!
「あ、コレ? ですか?」
「おう。」
――カチャ……ブォ〜〜〜〜
「キャー! すごー!」
身体全体を風で乾かせるドライヤーまで!
でも、私たち的に一番すごく助かるなぁーという機能がこちら!
「これですよね?」
「そうだ。」
――カチャ……ブォッシュゴッ!
「うわぁー! すっごい! 吸ってる!」
「そりゃ、そう作ったからな。」
床清掃と、おトイレ清掃まであるのです!
「あ、シャワーも……」
「いや……それはやめておけ。せめてやるなら、出てからにしろ。」
「はーい!」
内装としては、床は石……なんですけど、タイル張りみたいに目が細かい感じになってて、掃除の後の水切れが最高! の床と、白くても温かみのある壁と、レトロでオシャレな木の天井です。
もう、機能は文句なくハイテクです! ハイテク! 匠の技が光り過ぎてます!
なんということでしょう!
外に出て、外観をもう一度……しっかり見ます。
中と同じ白い壁、下の方はお城みたいな石組み、そしてなんと! キラッキラの瓦屋根なんですよね!
もう、ムク城! ロラ城! という感じです!
今も、陽の光に照らされて、瓦がキラキラ光ってて……
紫の光が基本なんですけど、角度によっては紺色や青、少しだけ赤みを帯びたりもするそうです……が? あれ? 緑……?
「エメ?!」
「キュイッ?」
エメがいつの間にか屋根に登っていたようです。
なんということでしょう!
もー! さっきまであっちでムクたちと遊んでたはずなのにぃ!
「あ、エメ逃げた!」
エメは、私が気付いたら、たたっと裏手に降りようと走り出しました。
エメはすばしっこいんですよね。
「大丈夫。」
リトが小さく声を出したら……
「キュッ?!キュイッ?!キュキュー……」
エメはふわふわと宙を浮いて……
「ほら。つかまえた。」
リトにキャッチされました! すごー!
「リトはやっぱりすごいねー!」
「エメは、軽いからね。」
「キュイッ?」
「お母さんだったら、ご飯抜き! って言うんだろうなぁー。」
「キュッ? キュイッ? キュキュッ! キュキュキュッ!」
ジトーっとエメを見ながら言ってみたら、ずいぶん焦ってるみたいで、ぶんぶんぶんぶん首を横に振っていました。
やっぱりエメ、言葉分かってるよね??
「おい、嬢ちゃんら。遊んどらんと、ルクを入れたらどうだ。」
「あ! そうだった!」
私はお庭にたたっと走って
「ムクー! ロラー! お家出来たよ! おいで!」
ムクとロラを呼びました。
「キュアーッ!」 「キュアッ!」
するとムクもロラも、短い翼を精一杯広げていました。嬉しいのかな?
てってと小走りのムクとロラは、小屋の前でピタリととまると、くるりと2羽で向き合って
「クエッ!」 「クゥー!」
と、またしても何か相談 (?) していたようです。
そして、1番外側のお家にムクが入って、シルの側にロラが入りました。部屋を決めてたのかな?
ちゃんと干し草のベッドも作ってあるのです。気に入ってくれたかなぁ?
「クエッ! クゥー!」 「キュアーッ!」
ムクもロラも喜んでるみたいです! そわそわじゃなくて、興奮している感じです!
「ブロックルさん! ナッビさん! ありがとうございました!」
「あ……ありがとうございました!」
「くかか……。まぁ、また何か依頼があれば言えばいい。ナッビには、しばらく儂ん所で修行させる。」
「「「えっ?!」」」
3人びっくりで、ハモってしまいました。
「よ……よろしいので?!」
「構わんさ。お前も……見所がある。」
ブロックルさんは、なんだか遠い目をしていました。
弟子……といえば、ダーインさん……ですよね。懐かしくなってるのかな。
「あ……ありがとうございます!」
ナッビさんは、深々と頭を下げて、ぽろぽろと涙を流していました。
嬉しかったんですね! よかったです!
さて、私は……
ムクに装置の使い方教えないとね!
「ムクー。」
「クェッ?」
「あのね、これを踏むとね、ここに水が出てね、飲めるんだよ!」
「クエッ!」
――カチャ……ブシャーッ!
「キャーッ! ムクぅー! それシャワーだからぁー!」
「キュアーッ!キュアーッ!」
「くっ……くかかか!」 「ユ……ユウナ様……!」
「あはは……!ユウナったら……もう。」「キュキュキュイッ!」
「あーん! もー! びちゃびちゃあー!」
「クエッ!」
その日、我が家は笑い声がとても賑やかでした。
お読みいただけまして、ありがとうございました!
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