ファンタジックミラクル建築!
前回のお話 : 我が家へようこそ!
――コォン! コォン!
「よいしょっ……よいしょっ……」
――ギィコ……ギィコ……
「あ、これに……」
「……これですか。わかりました。……んっ!」
――コォン! コォン!
ふう。ただいま絶賛みんなで工事中なのです!
そう、工事です! 建築? かもですね。
で、工事だとか工作だとかは、図面とか作るイメージがあったんですけど……
「ああ、図面か……。いや、なんで嬢ちゃんはそれを知っている? そういった書き物はアルヴヘイムでは禁止だと……」
ついブロックルさんに聞いたら、あきれられながら怒られてしまいました。失敗。
なんでも、書き物をしてることが最高神にバレちゃうと、今度こそこの星は無くなってしまうかも!
ということらしいのです。ものすごくひどい話ですよね!
でも……
「最高神はな……同じ創世十二神である我らの生みの親、火神様の力すら、封印してしまう程だ。それ程強大であり、容赦も無い。用心に越した事は無いんだ。」
と、ブロックルさんは苦々しい顔で教えてくれました。
星ごと消す……だなんて、どんなに鍛えても、多分私じゃどうしようもないんだろうな。
そんなわけで! 今私は、リトが象言法で掘った四角い穴の隅に、杭を一生懸命打ち込んでいるのです。
ブロックルさんは、木を切ってて、ナッビさんとリトで何やら異能を使っているようです。
みんなでやるこういう作業って、生涯通じて初めてです!
とでも楽しいですね!
「おし、嬢ちゃん。ちぃと退きな。杭はそんなもんでいい。」
「はーい。」
ブロックルさんはそう言うと、私がどいたあと、穴の中に入りました。
手に何か持っているようですね? なんだろ。
何するのかなぁと思って見ていると、手に持っていたものを穴にまき始めました。
「うっし。」
ブロックルさんは、また手をドゥン! ドゥン! と叩きながら、穴から上がりました。
「おい、ナッビ。」
「はい。」
「石、運ぶぞ。」
「あ、は、はい……!」
あ、積み込みの時に苦労してたやつだ……。
さすがに私には重くて、それはお手伝い出来なかったんですよね。
ナッビさんは、ひぃひぃ言いながら運んでいました。
きっとまた、ひぃひぃ言うんだろうな……。頑張ってね!
「あ、わたし……よかったらそれ、手伝います……!」
と、思っていたらなんと。リトが!
「あぁん? お前さん、こんなモン持てるのか? とてもそうは見えんが……。」
ブロックルさんは、大きな石を両肩にひとつずつ乗せながら、リトをじろっと見ました。
「あ、は、はい。い……異能で……! こうすれば……!」
リトがそう言った時、荷台にあった石たちが、全部ふわふわと宙に浮きました。すごい!
「えー!? リト! すごいね!?」
「あ……ユ……ユウナ……ごめん、今……むり……」
リトはすごく真剣な顔で、そんな風に言っていました。
そして、ふわふわと宙を浮きながら移動していく石たちの後について、ふらふらと歩きながら……
「ああ……もうダメ……」
――ドッ ドドドドッ ドズゥン!
穴の近くに石たちは勢いよく着地しました。
「くっ……ははは! やるじゃねぇか! 大したもんだ!くかか……。後は儂がやろう。そっちでナッビと続きしてろい。」
「……はぁ……はぁ、はい!」
リトは、よろよろとナッビさんの方に歩いて行きました。
「リトぉー! すごいねー!」
私は走り寄って、飛びついて、ギュッとしました。
「あ……ユウナ。さっきはゴメンね。ちょっと……余裕なくって……。」
「ううん。大丈夫! やっぱり大変だった?」
「……うん。出来るかなって思ったんだけど……精力の消費がすごくて……。」
「そうなんだ……?」
「うん……。ちゃんと具体的に現象を思い描いたけど……実現するには、力は使うから……。重い物を動かすのは、大変みたい……。」
「はぇー。そうなんだぁ……。」
異能も言法も使えない私には、いまいちわからない感覚ですけど……
多分、普通に重たいものを運んだら疲れるってことですよね!
「リト、すごいね! 頑張ったね!」
「うん。わたしだって……がんばらないと……ね。」
リトはそう言って少し微笑みました。
少し疲れた感じの笑顔で……ちょっと気になります。
むぅ……。
これ……また、変なこと考えてるなぁ~? 後でお風呂で聞かなきゃですね!
――ゴッ! カッ! ゴトン……
ブロックルさんが石を組み始めたようですね。
「じゃ、リトちゃん、疲れてるところ申し訳ないんだが……」
「あ、はい。大丈夫です。やります。」
ナッビさんとリトも作業を再開したようです。
さぁ、私も! と言いたいところですが……
次は何をすればいいんだろ?
「ブロックルさん、私もそれ手伝います?」
「あぁん? 運べん者に手伝えるかぃ。……あっちにある、茶色の袋を持ってきてくれ。」
「はーい!」
ブロックルさんに言われて、荷台を探します。
んー……茶色、茶色……
あ! これだ!
持ってみると、そんなに重くはありませんでした。
「はい! 持ってきました!」
「おう。」
ブロックルさんに、茶色の袋を渡しました。
すると……
「おおお……!? こんなふうになるんだぁ~!! すごい!!」
ブロックルさんは、私の運んだ袋の中身を組んだ石にかけたんです!
そうしたら、組んだ石がカチーンとして、きらきらと、ところどころ光るのです! おしゃれです!
「うっし。柱立てるぞ。ナッビ! 出来たか?」
「はい! 柱、準備出来てます!」
「おぅし。持ってこい!」
「は、はい! ……よっ……しょ!」
「あ! 私も手伝います!」
ナッビさんがよたよた運んでいた柱の後ろ側を持って、一緒に運びました。
それを、8回繰り返して……
「おし、そのまま支えてろ。」
ブロックルさんが立てた柱を、ナッビさんが支えています。
その間に、ブロックルさんは、柱の下の部分に何かを塗っていました。
その作業を8回繰り返すと……
「おおっし!」
「わぁー!!」
石組みの上に、ばっちりカッコよく柱が空に向かって立ったのです!
ついに柱が立って、建物感が出てきましたね!
完成が楽しみです!
がんばるぞー!
お読みいただけまして、ありがとうございました!
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