劇的?! ビフォー
前回のお話 : ビュッて動けます!
――カラカラカラカラ
「ほぅ……。中々立派だな。」
「こちらがユウナ様のお住いですか。」
ブロックルさんとナッビさんは、しげしげといった感じでお家を見上げていました。
自慢の我が家へようこそ! ですね!
あの後、資材を荷車に積み終えた私たちは、我が家へと到着したのです!
もちろん積み込み、ちゃんと手伝いましたよ!
ブロックルさんは本当に力持ちで、ナッビさんが持てないような大きな木の柱とかもヒョイって持ってました!
いつも巨大な槌を軽々振ってるだけはありますね……
しかも、ブロックルさんの荷車はすごくて、ゴムみたいなタイヤがついてて、そのタイヤの回転も、とてもスムーズでした。
なんだか、回転軸? のところに秘密があるらしいです。
とにかく移動がものすごく楽で、びっくりしました!
地球にあったようなのとそっくりだったので、なんでか気になって聞いてみたら、
「火神様からの恩恵……知識供与だな。」
とブロックルさんは言っていました。
地球の知識を、神様が持ってた?
それとも、神様が地球に知識を与えた?
私にはわかりませんけど、やっぱり不思議な世界ですね。
「あ! みんなただいま!」
「あ、おかえり。」
「キュイッ!」 「クゥー!」 「キュアーッ!」
リトは宣言通り (?) 縁側に座って、みんなの様子を見ていたみたいでした。
なんだかほのぼのした絵になってて、癒される感じですね。
ムクがてってと近寄ってきます。
「クェッ!」
ずいっと頭を出してきたので、なでてあげました。
「クゥー」
満足そうですね! とても気持ちよさそうです!
「キュッキュイッ!」 「クェッ!クゥー!」
エメとロラはじゃれ合ってるみたいです。
なんだかずいぶん仲良くなりましたねー。
まだ出会って1週間も経ってないんだけどな?
なんだろう? 何か通じるものがあるのかなぁ?
「あ、ブ……ブロックルさん……?! と、ナッビさん? こ、こんにちは……!」
私の後ろにいた2人に気づいて、リトが立ち上がって挨拶をしました。
「おう。邪魔するぞ。」
「やぁ。こんにちは。いい家だね。」
ブロックルさんはいつも通りの顔をしていましたが、ナッビさんはにこやかでした。
――カラカラカラカラ
荷車をお庭に入れて……
作業開始かな?
……と、思ったのですが。
ブロックルさんが、お庭をのしのしと歩き回っています。
そして、ナッビさんは……
「リトちゃん。この前は、本当に申し訳なかったね。」
「あ……いえ、わ、わたしはナッビさんには……なにもされてませんから……」
「いや……すまない。今日も、ユウナ様のため……というのも、もちろん大きいが……詫びの意味も込めて、精一杯やらせてもらうよ。」
「え……あ、ありがとうございます……」
リトとお話していました。
ナッビさん、リトとは普通な感じで話すんですよね。
「うむ……。嬢ちゃんよ。随分と王に気に入られとるみたいだな。」
庭をのしのし歩いていたブロックルさんが、急にそんなことを言いました。
「えっ?」
「こりゃあ、この家は神力……アルヴ風だと精力か……。この辺りでは一番良い状態だな。」
「そうなんですか?」
「ああ。」
ブロックルさんは、深々とうなずきます。
「リト。リトは分かる? 私、力の流れだとか……全然わかんないから。」
クルリと振り返ってリトに聞いてみると……
「うーん。この家しか知らないからなんともだけど……ユウナはこの家、すごく落ち着く感じとか、しない?」
「うーん。そういう言い方されると……するけど……」
でも、ここは……
間取りも素敵だし、広いお庭もあるし、なんだか年中桜みたいな花とか桃みたいな花が満開だし……
やっとたどり着いた場所っていうのもあるし……
それに、お母さんが作った花壇もあるし……
神力だとか精力だとかのせいかどうかは、全然わかんないよー。
私が頭を抱えていると……
「あ、ほら。お花が育ちやすかったり、枯れたりしないでしょ?」
リトはそんなことを言いました。
たしかにそれは思い当たることがありました。
「あ! うん。そうだね。」
「力が満ちてるとそうなんだよ。……あ、あと、多分……前ほら、妖精……」
「妖精さん? ソウちゃんだっけ。」
「いや、名前は……わからないけど、妖精とかは、力の満ちてない場所には現れないって聞いたことあるよ。」
「えっ? そうなんだぁ。」
「ふん。まぁそういうこった。……妖精が来たのか。」
「あ、そうなんですよー。そこの桜の木から……。なんかこう、エメが光って……。あ、エメ!」
「キュイッ?」
庭でちょろちょろしていたエメを抱き上げて……
「なんかこの、宝石? みたいなの、あるじゃないですか。赤いところ。ここがなんか光って、桜の木を照らしたんですよ。そしたら、光の粒? みたいのが出てきて。」
ブロックルさんに見せて説明します。
「ほぉん。コイツ、道を通せるのか。」
ブロックルさんは、腕を組ながら、あごひげをモサモサ触っていました。
ヒゲ、たくさんで、アゴまで触れないのかな。
「みち?」
「ああ。妖精や精霊の通り道だな。やつらは肉体に依ってない。精力の塊みたいなもんだ。わりと自由が利く。」
「はぇー。フェアランドと行き来が出来るってお話は……」
「ああ。そういうこった。」
うーん。ますます不思議な世界ですねー。
「さぁて。場所決めをするか。」
ブロックルさんは、手と手を合わせてドゥン! という感じで叩きました。
普通、パンって感じに鳴ると思うんですけど……
すごく重くてにぶい音でした。
そからのブロックルさんは、さすが職人さん! といった感じで……
ものすごくテキパキしてて……
ムクとロラのお家の場所は、ルルとシルのお家の並びになりました。
そしてなんと……
「せっかくだ。いい装置を付けてやろう。」
ブロックルさんは、時々にんまりとしながらそんな事を言っていました。
そして……
「ブロックルさん! でしたら、私の異能でこんな風に……」
と、ナッビさんも張り切ってて……
さらに……
「リトちゃん。すまないが、こんな事は出来ないだろうか……」
なんて、リトの象言法まで……
一体……どうなっちゃうのー?!
お読みいただけまして、ありがとうございました!
今回のお話はいかがでしたか?
並行連載作品がある都合上、不定期連載となっている現状です。ぜひページ左上にございますブックマーク機能をご活用ください!
また、連載のモチベーション維持向上に直結いたしますので、すぐ下にあります☆☆☆☆☆や、リアクションもお願いいたします!
ご意見ご要望もお待ちしておりますので、お気軽にご感想コメントをいただけますと幸いです!