美食をめぐる (?) 攻防戦?!
前回のお話 : 王子が……
隊長さんたちや王子たちと話した後、ヒルドルさんとロタさんに連れられて、ビュッフェテーブルにきたのですが……
「ふぅわぁー! なにこれー! すごー!」
そこには見たこともないようなご馳走が並んでいました。
見たことないお料理ばっかりなんで、何が何だかなんですけど……
とにかく色とりどりのお花畑みたいに、料理が咲き乱れています!
これがパーティーなんですね! すごいです!
「あ、ユウナ。大丈夫だった?」
「リト! んとね、ヒルドルさんとロタさんが助けてくれたから大丈夫だったよ! あれ? エメ……」
「うん。 エメ、食べすぎちゃって……」
「ギュ……ィ……」
「お腹、まんまるだねぇ……」
エメは今まで見たことないくらいにお腹がパツパツになっていました。大丈夫なのかな?
「ベイラさんたちが食休みに中庭の散策に行くみたいだから、わたしエメ連れて散歩させてくるね。ユウナはまだ何も食べてないでしょ? 美味しかったから、たくさん食べててね!」
「あ、うん。わかった! 気をつけてね?」
「うん。多分エメもこんなだから、そんなに暴れたりしないと思うし……」
「ギュ……ゥイ……」
リトは少し重そうにエメを抱えて歩いていきました。
エメはほんとに食いしん坊だなぁ。
私もお母さんに料理を習ったし、リトも上手なんだけど……
お母さんほどすごくはないから、エメ……不満だったのかなぁ?
お母さんの料理は、このビュッフェテーブルに並んでる料理と比べても全然負けないもんね。
でも、さすがに王宮の料理です。目にも綺麗で、味も美味しいです。少しずつお皿に乗せて、1品1品食べよー!
材料はなんだろう? スヴァルトも花とかなのかなぁ?
わかんないけど、これは鳥肉っぽいなぁ。香草焼き? なのかなぁ? すっごく香りも良くって、とろっとしてふわっとして、美味しいなぁー!
うふふー。次は何にしようかなぁー?
「あ、あのう……。すいません、ユウナ姫様……」
「……もごっ……! ふぇ……?」
急に話しかけられて、びっくりしました。
ミニステーキみたいなの食べようと思ってたのにぃー。なんなんですかぁー。
「……もぐもぐ……ごくん……! は、はい。……な、なんでしょうか?」
とにかく急いで口の中のものを飲み込みました。せっかく美味しかったのになぁ。
「あぁっ……き……急に話しかけてしまい……し、失礼しました。」
「あ……さっきの、えっと……」
その人は見たことある人でした。
「ノーリです。先程は大変申し訳ございませんでした。」
あ、そうだ。ノーリ王子だ。
そのノーリ王子に、なんだか深々と頭を下げられてしまいました。
スヴァルトの王子様がこんな態度だなんて……
ものすごくびっくり……というか、不思議な気分です。
リーグ王子とは真逆な感じというか。
「……えっと? 私、なにか謝られるようなことされましたっけ……?」
「あ、いえ……。僕のせいで……ご不快な思いを……させてしまったかと……」
ノーリ王子は、声が小さめで、ボソボソと話すので、少し聞き取りづらいかも知れませんが、私は耳はいいほうなので、なんと言っているかは分かりました。
でも……
「私、ノーリ王子に何か嫌なことされた覚えはないですよ? 普通にご挨拶しただけですよね……?」
ノーリ王子の言っていることは、分かりませんでした。
「え……いや……あ、あの……僕が、兄上様に突き飛ばされたとき……庇っていただいたので……」
ああー。それですかー。でもそれは庇ったというか……
「あれは、リーグ王子がひどいことばっかりするからです。だからつい……怒っちゃったというか。そんな感じなのです。」
「それならそれで……結局は僕のせいで起こったことですので……」
「……? なんでノーリ王子のせいなんですか?」
「え……いや……僕が……スヴァルト王家の……恥晒し……だから……」
「あの、弱いとかそういうことでしたっけ?」
「は……はい。虚弱体質というか……病弱というか……とにかく王族らしくなく……」
「うーん……。私は、スヴァルト王家のことは分かりませんし、関係もないですけど……。弱いとかそんなことで、ひどいことされるのが普通っていうのは、違うんじゃないかなって思って。」
私は、前世ではろくに動くことも出来ない身体だった。
でも、前世の家族は優しかった。
こっちに来てからも、障害のせいで王家からは追放されたけど……
お母さんもリトもナイもミュルク村の皆も優しかったし、大事にしてくれた。
ん? じゃあ、王家……が、ひどいのかな?
「ですが……王族の一員として、強くあらねば……」
あ、やっぱり王家がひどいんだ!
「じゃあ、王族なんてやめちゃえばいいのでは? 私、アルヴ国では村人で狩人でしたけど、毎日楽しくて幸せでしたよ?」
「え……? 王族を……辞める……?」
ノーリ王子は、一言呟いたあと、俯いて右手を口元にあてながら、ブツブツと何かを言っていました。
さすがにそれは私にも聞き取れませんでした。
それはそうと、もういいですかね? たくさんのお料理が、私を呼んでいるのですけど……
「あ……あの……! ユウナ姫様……ありがとうございました……!」
ノーリ王子は、ガシッといきなり私の手を掴みました……!
え……まさか、この人も痴漢なの……?!
と、思った瞬間には……
「またお話させていただければ……大変嬉しく思います。それでは……。」
と、深々とお辞儀をして去って行きました。
……なんなんですかね?
まぁいいのです。
私にはたくさんの美味しそうなお料理たちが待っていてくれるので!
さてさてー? 次はどの子にしようかなぁ〜? うふふー。
「ユウナ姫様。お楽しみの所、失礼いたします。」
……?!
そ、そんなぁー?!
またぁ?! 今度はなんですかぁ……もー!
お読みいただけまして、ありがとうございました!
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