68. スヴァルトの王子様はもうひとりいたみたいです。
前回のお話:怒ってる〜
戦勝パーティー開始から、私はなんだか部隊長さんたちに段々と囲まれてしまい……
スレイフ部隊、カーラさん
楯部隊、ヴィスナさん
ゲイル部隊、ヒルドルさんとロタさん
アクス部隊、バーヴォルさん
ハンマ部隊、ベーリングさん
と、そうそうたるメンバーに取り囲まれて、小さくなっていました。
そこに更に乱入してきたのが……
「ふははは! 我がユウナが困っておるではないか! さぁ、道を開けよ!」
あぁぁ……?!
リーグ王子きちゃったぁあぁ〜〜……。
やだぁ〜〜……。もう帰りた……
……あれ?
さっき舞台奥に王子の横に座ってた人だ……。誰だろ?
「ちっ……王子か……。まぁ挨拶は済んだ。ユウナ姫! 楯術の件、考えといてよな! 」
「あ、は……はい!」
ヴィスナさんは、王子と入れ違いにこの場から離れていきました。
ヴィスナさんは、はっきりしてる感じで気持ちいい感じだなぁ。
「リーグ王子。王子はユウナ殿との決闘に負けたはずでは? それを我がものと仰せでは道理も通らぬかと存ずるが?」
あぁっ……! ヒルドルさぁ〜ん! もっと言ってもっと言ってー!
「そうっすよ。決闘は、絶対。これスヴァルトの法。それを王子が破るとは、良くないんじゃないっすかねぇ?」
ロタさぁん! かぁっこいぃー!
「ほぉう。そのような事が……。ふぅむ。やはりユウナ姫は逸材のようだ。是非スレイフ部隊にも顔を出してくれたまえ! なに、固定でなくともいいんだ。それでもお互いに利があるはずさ。ヒルドル。そういう事で、私も退散させてもらうよ。」
「あ、はい。ありがとうございました!」
カーラさんは、熱いけどクールな感じもあって、ちょっとヒルドルさんに似てるなぁ。
「あぁ。ユウナ殿たちのことは一考しておこう。」
そしてカーラさんもいなくなり……
「がははは! リーグ王子、負けたとはな? 真面目に訓練をしないからだ! アクス部隊にもちっとも顔を出されぬではないか。 お、そうだ。ユウナ姫よ。姫に斧が扱えるとも思えぬが、我が隊にもどうだ? 王子とご一緒にな! がははは!」
「あ……いえ。斧、持てないと思うので。遠慮します。」
というか、王子と一緒にだなんて冗談じゃないです。
絶 対 に 嫌!!
「がははは! ずいぶんと冷たいではないか! ん? 王子、さては嫌われておるな?」
「な、な、な、何を言うかバーヴォル! き、き、き、貴様! 隊長とはいえ許されぬぞ!」
「がははは! 王子ぃ、そういうことは俺に勝ってから言ってくださいや!」
「くっ……!」
おぉ……?
なんですかこれは? スヴァルトは実力主義って聞いてますけど、王族でも同じなんですかね?
なんだかあのリーグ王子が言い返せなくなってる……! あのリーグ王子が!
「ふむ。一旦ご挨拶も済みましたのでな、これにて失礼させてもらおう。ユウナ姫様。ハンマ部隊の見学ならは、いつでもお受けしましょう。そこらの女どもとは違うということがよく分かるでしょうからな。ははは。」
「は……はぁ。」
ベーリングさんは乾いた笑いを残して去っていきました。
なんというか……すごく自信に溢れた感じですね。
そこらの女って、私も一応女なんですけど……
そりゃ実年齢2歳ですけど! ほんとなら幼児ですけど!
「あ、あのぅ……。」
そんなタイミングで、おずおずとした感じに謎の人物が話しかけてきました。
「はい?」
何かご用なんですかね?
「ぼ……僕は、ノーリ……ノーリ・スヴァルト・アウルヴァングです。お……お初にお目にかかります。」
「あ、はい。ユウナです。初めまして。」
どうやら普通にご挨拶にきてくれたみたいでした。
それなりに小綺麗な感じの和風の装いで、スヴァルト族には珍しく、痩せ型という感じです。
長い銀髪に、切なげな銀の瞳で、なんというか、中性的……? あ、病み系というやつだ!
んん……? ノーリ……スヴァルト・アウルヴァング?! って言った?!
あれ?! それって王族ってこと……?
「おい、愚弟! 我がユウナに勝手に話しかけるんじゃない!」
――ガッ! 「いっ……?!」
「退いておれ!」
「え……なにするんですか?!」
リーグ王子は、ノーリ王子? を押し飛ばしてしまいました。
普通にご挨拶してただけなのに!
「リーグ王子! なんでそんないつもいつもひどいことばっかりするんですか!」
「お、おい、ユウナ、何をそんなに怒っておる? あのような貧弱者などが王族などと恥でしかないだろう?」
「な……なんてこと言うんですか! 弱いとかそんなことでひどいことしていいわけない!」
そうだよ……。
私だって、そうやって国を追い出されたんだし。
だから頑張ってるのに!
「ううぅーー……!」
私は腹が立っているのか、悔しいのか、悲しいのか、なんだかぐちゃぐちゃでよくわからなくなってしまいました。
「ま、待て待て、ユウナ殿! この場ではそれ以上は不味い。さ、我らとともに、食事でも取りにいこうではないか。」
「そ、そうそう! ユウナちゃん! 今日はスヴァルトの王宮料理のビュッフェなんだぞ〜? 滅多に食べれないからなぁ〜! たーのしみだなぁー! さぁさぁ、行こう行こう!」
「お、おい貴様ら、ユウナをどこへ……」
「リーグ王子。その場で眠りにつきたくなければ、ご遠慮いただこうか。これ以上は我々では庇いきれぬ。」
「うぐ……っ」
そうして私は、ヒルドルさんとロタさんに連れられて、ビュッフェテーブルへと行きました。
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