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残念エルフ姫ってなんですか?! そんなの聞いてませんけど…… 【神世界転生譚】ユウナと不思議な世界  作者: Resetter
五章 : スヴァルト暮らし

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62. 安堵の刻

 

 私が再び外に出ると……


「ぎゃあああ!」「クソっ……!」「つ、強ぇ……」


「さぁ、賊共! どんどん来い!」


 ヒルドルさんの周りにいただろう人影が、さっきより減っていました。


 やはり、槍を持ったヒルドルさんは心配しなくてよさそうですね。


 スヴァルト族同士なら、ヒルドルさんが負ける姿は全然想像出来ませんしね。


 だったら……


 他の皆がいる位置を把握しようと、耳をすませます。


(ロタ副長! 助かったっす……!)

(ああ、さっさと片付けるよ!)


 うん、ロタさんが助けて回ってるみたい。


(くっ……! 3人掛りとか……ッ!)

(へっへっへっ……! かのゲイル部隊っても、この程度かよ……!)


 あ、まずい……!


 声のした方向へ全速ダッシュ。


「ベイラさん!」 3人組の背後から声をかけながら……


 ――ブンッ! ガゴッ!


 1人を振り向き際に打ち据え……


「ぐっ……!?」……ドサッ


 倒します。


「はぁ……はぁ……ユ……ユウナちゃん……!」


「クソっ!助太刀かよ……」「なにしやがる!」


 ベイラさんは、消耗激しくといった感じで、肩で息をしていました。


「もー! なんなんですか! ひどいことして!」


 ダーインスレイヴ(棒)を、頭上でくるくる回して……


「チッ?! アルヴ族か?」

「ああ、言法(セイズ)に気をつけろ!」


 ベイラさんを襲っていた2人は、こちらに向き直りました。


「殺るぞ!」「おう!」


 そして、一気にダッと距離を詰めて来ました。


 棒を地面に突き立て――


 その勢いで2人を飛び越え――


 ――ザッと着地! と、同時に!


 ――ブン! 棒で――


 同時攻撃! ゴッ!「カッ……!」 ガゴッ! 「ギャッ……」


 ドサリと2人は倒れました。もう眠ったようです。


「はぁ……はぁ……ユウナちゃん、助かったよ……。」


「うん。無事でよかったです! あ、あそこの建物にリトがいるはずだから、守っててください!」


 リトのいた建物を指差します。


「あぁ。リトちゃんか。わかった。任せて! って、ユウナちゃんはどうすんだい?」


「私は、ピンチな人探して助けるよ!」


 スッと目を閉じ、耳に集中!


(よし、交差撃だよ!)

(うっす!)

(ぎゃあああ……)


 ロタさんたちは順調そう……


(ぐぁっ……)

(へへー……やっと追い詰めたぜ……)

(くくく……心配すんな……すぐには殺らねぇよ……)


 ああああ……! まずいまずい!


「じゃあ私行くからぁー!」


 声のした方へ……風になれ! 私!




「くっ……! 殺るなら殺れ!」


「へへー。焦んなって……後でちゃんと殺ってやっガボォ?!」 ドッ!!


 ――ズザーーッ!! ドンッ!!


 走る勢いまんまに、イルザさんに迫っていた男に飛び蹴り。

 その男は地面を滑っていきました。

 そして壁にぶつかったみたいですね。


「な、なんだぁ?!」「お、おい?!」


 残る2人はビックリした様子でこちらに振り返り……


「イルザさん! 立って!」


 ――ブンッ!


 ガッ! 「ぅごっ……!」 ……ドサッ


 振り返りざまの1人の顎先を、棒で打ち払いました。

 バンザイしていますね。


 よし、残り1人!


「あ……ああ、ユウナちゃんか……!」


「ヒッ……! な、なんだ? ア、アルヴ? な……なにグェッ?!」 ボグッ!!


「……! ……ッ……! ゲブァ……ッ!」


 残る1人は、鳩尾を棒で突き上げておきました。

 まだビクンビクンしてますが、もうすぐ眠ると思います。


「はは……。さすが……ユウナちゃん。助かったよ。」


「うん。間に合ってよかった! あの建物に、リトとベイラさんがいるはずだから、向かってね!」


「あ、ああ……わかった。ユウナちゃんは……」


「私はまだまだ動けるから!」


 他に1人で戦ってる人は……


(よし……この調子で全員助けるぞ……)

(うっす……)(はい……)


 うん。ロタさんたち、集まってきてるみたい。よかった。


(お……やっと大人しくなったぜ……)

(おい……順番だぞ……)

(ああん? 俺が先だろ……)


 ああああああああぁぁぁ!!

 だめだめだめだめ!!


 風じゃ足りない! 光になれ! 私!



 限界を超えるスピードでダッシュ!


 の、勢いからぁー!


「おい、早く鎧取れよ!」「中々取れねぇんだよ!」

「チッ!モタモタすんなよ……」


 棒を地面に突き立てて――


 前に跳ぶっ! ――ブァッ!


 棒を横にして…… ――ガァン! 3人組に突っ込んだ!


「ゴヘッ……」「ブゲッ……」「オ゙ッ゙……」


 3人ともエビみたいになってる。もうすぐ眠るでしょう。


「あ! キルヴィさん! キルヴィさん?!」


 倒れてたキルヴィさんに駆け寄り、抱き起こしてみる。


 反応が無い……


 まさか……


 首筋に触れてみると、微かに振動が指先に伝わる。


 よかったぁー。生きてる!


 う、でも、遠くまでは私じゃ運んであげられないなぁ……


 困ったなぁ……


 えっと……血は、あんまり出てないな。


 ひとまず近くの建物まで運んでおけばいいかなぁ……



 その時でした。


「総員!! 勝鬨を上げろぉ!!」


 ヒルドルさんの声が響きました。


「「「おおー!!」」」


 ロタさんたちの声も聞こえます。


 お……終わった……?


 よ……よかったぁ〜……。


 途端に張り詰めていた気持ちが、解けそうになります。


 だめだめ。しっかりしないと。


 お母さんの教え。油断大敵。


 でも、一応戦いも終わったみたいだし、ゆっくりキルヴィさんを運んでてもいいよね。


 そうして、廃村の中央へと向かいました。


 ――


「よし! 皆集まったな。」


「「はっ!」」


「では、直ちに生き残りの賊共を縛り上げろ! 2人1組だ。散開!」


 2人1組ということで。私はもちろんリトとです。


「リト、あれから大丈夫だった?」


「うん。あの後ベイラさんがきて……怪我の手当てとかしてたよ。」


「そっかー。なんとか皆無事だったみたいで、よかったよねー!」


「……ごめんね、ユウナ……。わたし……全然ダメだった……」


 リトは、少し足を止めてしまって……


 暗い顔をしていました。


 私だって、初めての狩りの時とか、皆に迷惑かけちゃったし……


 仕方ないと思うんだけどな。


 だから、リトをギュッと抱きしめて、耳にキスをしました。


「あ……」


 リトはなんだかいつもより少し冷たくなっていて……


 怖かったんだね……


 そうだよね……


「あのね、私ね、あんまり上手に話せないけどね、リトや皆が無事でよかったなって思うよ! それにさ、ほら、頑張って鍛えてたらさ、いつかヒルドルさんみたいにすっごく強くなれるかもだしね!」


「う、うん。」


「前ね、お母さんが言ってたんだぁ。失敗をどう乗り越えるかが大事って。だから、私も失敗ばかりだけど、頑張るんだ!」


 リトが今どんな表情なのかは、抱きしめているので分かりません。でも……


「キュッ? キュイッ!」


「あっ? エメ?!」


 エメはリトの胸元辺りにいたみたいで、ひょっこり顔を出しました。


 それがなんだかおかしくて、2人で笑い合いました。

ありがとうございました!今回はいかがでしたか?

少しでもご興味いただけた、ちょっとは応援してやってもいいかなというお優しい皆様!☆評価☆やブクマ、是非よろしくお願いします!

コメントなどもお待ちしております!

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