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残念エルフ姫ってなんですか?! そんなの聞いてませんけど…… 【神世界転生譚】ユウナと不思議な世界  作者: Resetter
五章 : スヴァルト暮らし

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53. 世界不思議発見

前回のお話:うんうんうんうん

 

「えぇっ?!わたしも行くのぉ?!」


 ブロックルさんの鍛冶工房でお話した後、お家に帰ってから。ご飯の用意をしながら、ブロックルさんに言われた事をリトに話したら、何だかすごくびっくりしていました。


「うん。ブロックルさんが一緒にって」


「あの……怖い感じの人だよね……?」


 あー……。

 リトは男の人が苦手だったかも。


 ダーインさんとかにも全然慣れない感じで……。


 でもスヴィーウルさんは平気そうだったんだけどな。


 うーん。


「えー?怖い……かなぁ?なんかずんぐりしてて、ちょっと可愛くない?」


「え、え?か……かわ……かわいい?ユウナ……ウソでしょ?あ、あの人……は、迫力がすごいというか、威圧感というか……こ、怖いと思うけどな……。いや……でも、ユウナなら……おっきくなったナイの事も、可愛いとか言ってたし……」


 リトは、なんだかだんだん声が小さくなっていってました。


「そうそう!ナイだよ!」


 でも、そのリトの言葉に、聞き逃せない名前がありました。


 実は……私がスヴァルトに来てからしばらくして、ある"お知らせ"があったのです。


 あれは、お母さんが旅に出てすぐのこと……


 ――


 その日。


 朝の訓練の後のお風呂上がりに、縁側でぼーっとお庭の桜を見ていました。


 エメはその日もとても元気で、


「キュッキュイ!キュイー!」


 と、ぶんぶん槍を振るようなアクションをしていました。


 多分、ゲイル部隊の訓練についてきてたから、エメも練習してるんだろうな(笑)それとも私の真似かな?


 でも、突いたりは出来ないみたいなんですよね(笑)


 しばらくそうしてエメはぶんぶんぶんぶんしてたんですけど……


 急にピタッと止まったんです。


 桜の樹の前で。


「ん?エメ?どうしたの?」


「キュッ……キューイッ!」


 私が話しかけてもこっちを見ませんでした。


 エメは桜の樹の方を見てて……


 すると額の宝石が赤く光り出して……


 その光が、桜の樹に当たった瞬間、桜の樹から緑の小さな光が出てきて……


 ふよふよと漂うように、近づいてきました。


「キミ、キミ」


 そして、小さな子供みたいな声が。


「えっ?」


「ユウナ?ユウナ?」


「え、そ……そうだけど……」


 小さな緑の光は、そのままふよふよと、こっちにどんどん近づいてきました。


「むらさき、むさらき」


「紫?」


「うんうんうんうん」


「つの、つの」


 紫……角……?え……もしかして……


「ナイ?!ナイのこと?!」


 ちょっとびっくりして、少し声が大きくなってしまいました。


「ユウナ?!どうしたの?ナイ帰ってきたの?!」


 部屋で訓練疲れを癒してたはずのリトが私の声に反応して、こっちにきました。


「え、いや……えっと……んと、なんか、エメが光ったら、桜から光が出て……」


 私はあんまり上手に説明出来ませんでした。


「えぇ……?どういう……え?それ……妖精?!」


 リトは、ふよふよした光を見て驚きました。


 よかった。私も驚いたもん。普通驚くよね?


「はぇー。これが妖精さんなんだぁー。初めて見たぁー。世界不思議発見だねぇー。こんにちは、妖精さん。お名前はなんていうの?」


 姿は全然わかんなくて、小さな緑の光の粒みたいな感じだけど、どんな名前なんだろ?


「そうだよ、だよ」


 妖精さん、ソウっていうんだぁ。


 子供みたいな声だし、似合ってるなぁ。


「ソウっていうの?可愛いね!よろしくね!」


「えっ?えっ?」


 あ、そうだ。肝心なこと聞かないと。


 多分教えに来てくれたんだよね。


 それとも、エメが呼んでたのかな……?


「それで、ナイ……紫の子が、どうしたの?」


「むらさき、むらさき」


「フェアランド、フェアランド」


「えっ?!ナイ、フェアランドにいるの?無事なんだね?」


 ナイにフェアランドに旅に行きたいって言ったことあるから、そっちに行っちゃった?!


 でも、あんな強い竜と戦った後に……そんな行き方もわかんないようなところに行けるのかな……?


「うんうんうんうん」


「帰って……これるの?」


 ナイ、今どうなってるのかな……何してるんだろう……。


 どこに住んでたとかも、分からないって言ってたけど、フェアランドが故郷だったのかな……?


 帰巣本能っていうんだっけ?そんな感じかな……?


「ねてる、ねてる」


「寝てる……もしかして、動けないのかな……」


 ナイ、じっとすると元気出るって言ってたけど、寝てるわけじゃなかった。


 ナイはいつもあんまり動かずにじっとしてたけど、寝なくていいって言ってたし……。


 やっぱりあの後、なんかあったんだ……。


「ユウナ、ユウナ」


「うん?なぁに?」


「マザー、マザー」


「マザー?」


 マザーって、お母さん(マリーカ)のことじゃないよね?今頃アルヴ国に向かってるはずだし。


 この子のお母さんかなぁ?


「きなさいって、きなさいって」


「フェアランドに、私が行けばいいの?」


「うんうんうんうん」


「ナイは、大丈夫なんだよね?」


「うんうんうんうん」


「よかったぁー!わかった!フェアランド、行くよ!絶対行く!」


 フェアランド。


 リトとも行きたいねって何回も話してたけど。


 占い師さんにも行けって言われたけど。


 ナイがいるなら、絶対行かないと。


 ナイはあの時、私のために頑張ってくれた。


 今、私が無事で生きてるのは、ナイのおかげだし、今度は私が迎えに行ってあげないと!


「まってるね、ね」


 私はいつの間にか拳を握りしめていました。


 妖精さんの声のする方を向いたら、緑の小さな光の粒は、桜の樹の近くにいました。


「あ、うん!絶対行くね!ありがとう!」


「キュッ!キュイッ!」


 エメの赤い宝石が光って、桜の樹を照らすと……


 小さな緑の光は、消えていました。


 その日私は、フェアランド行きへの決意を改めて固めたのでした。

お読みいただけまして、ありがとうございました!

今回のお話はいかがでしたか?


並行連載作品がある都合上、不定期連載となっている現状です。ぜひページ左上にございますブックマーク機能をご活用ください!


また、連載のモチベーション維持向上に直結いたしますので、すぐ下にあります☆☆☆☆☆や、リアクションもお願いいたします!


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