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残念エルフ姫ってなんですか?! そんなの聞いてませんけど…… 【神世界転生譚】ユウナと不思議な世界  作者: Resetter
四章 : スヴァルトの地で

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43. スヴァルトの流儀

前回のお話:名前はエメ

 

 黄金色の太陽が照らす、果てしなくも感じる、広大な草原の中。


 ユウナとマリーカは、とある一団に取り囲まれていた。


「では、アルヴのユウナとやら。その力、見せて貰おうか。

 無論……言法などという無粋な真似はしてくれるなよ?」


 褐色のエルフは、絹の様に美しい銀の長髪を掻き上げて、自信満々といった様子で、私を見下ろしていました。


 私と同じ女性のはずなのに、ずいぶん大きいです。


 まぁ、私が小柄なだけかも知れませんが……。


 でも、私だって、ただでやられるつもりは無いのです。


「それは大丈夫ですよ?私、言法使えませんから。

 私のやわらか格闘術、見せて上げますよ!」


 そうだ。


 私は、きっとこんな日の為に、二年間毎日鍛えてきたんだ。


 一瞬目を閉じて、身体の内側に意識を持っていく。


 ……大丈夫。やれる。


「ふっ……。良い目をするなァ……。

 我が名はヒルドル!風斬槍のヒルドルだ!

 いざ参る!」


挿絵(By みてみん)


「私ユウナ。えーっと、多分二歳です。」


 槍に見立てた長い棒を構えるヒルドル。


 その長い間合いの外で、スっと両足を前後に開き、半身に構えるユウナ。


 槍に対して素手とは、不利にも程があるのだが……


 ユウナの表情は、実に落ち着いたものだった。


 そう、師であり母であるマリーカの様に。


 ――


 ――話は少し遡ります。


 エメがついて来る事になった後も、目的地は変わりません。


 私達はそのままスヴァルトの王都を目指し、山裾の森を抜けると、そこはまた、草原が広がっていました。


 エメは、そんな光景を見た事が無かったのか、


「キュッ?!キュイー!」


 と、不思議そうに走り回っていました。元気ですね。


 草原をしばらく進むと、遠方にルクの群れが走っていました。


 良く目を凝らしてみると……ルクの上には人影が。


 ルクは、エルフにしてみたら優秀な乗り物なので……(乗り物扱いもどうかとは思うのですが)、アルヴでもスヴァルトでもたくさん飼育されているようです。


 むしろ誰かが乗っているのを見る方が自然、といったところでしょうね。


 今のところ、野生のルクは見た事が無いです。


「お母さん、あっちにルクの群れがいるよ。誰か乗ってるみたい。」


「そう……。警備だと、面倒な事になりそうね……。」


 ルクの群れは、どうやらこちらに向かってきているようでした。


 王都の方角、つまり私達が向かっている方向もそちらだったのです。


 その両者が邂逅するのは、時間の問題でした。


 ――


「全体止まれっ!」


 ルクの集団の先頭を走っていた者が、力強く号令を出すと、その集団はピタリと動きを止めた。


 よく訓練されているのだろう、その静と動の流麗さは目を見張るものがある。


 その先頭に立つ者が、この集団の指揮官なのだろう。


 一際立派な甲冑を身に付けている。


 所謂フルアーマーに包まれた集団の面々は、一見しただけでは種族は疎か、性別すら判別が難しい。


 だが、指揮官は声色から察するに、女性であろう。


 指揮官は、停止した隊の面々を一頻り睥睨すると、視線を移し、眼下の見慣れない生物を連れた、怪しげな風体の二人に問いかけた。


「貴様ら、何者だ?ここで何をしている?その生物はなんだ?……密猟者か?」


 この問いに対して、ユウナは反射的に声を上げた。


「なっ……!密猟だなんて……」


 だが、ユウナが反論しかけた所を、マリーカが手で制した。


「私達は、故あってスヴァルトの王をお訪ねしようと旅をしている母娘です。このカーバンクルは、あの山を越えた折から、勝手について来ております。見放す訳にもいかず、世話をしております。」


「あの山……なに?!たった二人でトゥレイア山を越えただと?!」


 褐色のエルフは、マリーカの指し示した山を見て、驚愕した。


「それに、カーバンクルが勝手について来ただと?

 そんな話は聞いた事が無い!

 ……本当の事を言え!さも無くば、貴様らはここで屍を晒す事になるぞ!」


「これは……あまりに物騒な仰り様ですね。

 私は、何一つとして嘘などは申し上げておりませんが。」


「嘘は無いだと?!ならば、そのローブを取れ!」


「無用なトラブルを避けたかったのですが……。

 仕方ありませんね……。」


 マリーカは、目深に被っていたフードを取る。


 ユウナもそれに倣ったのか、ローブを脱いだ。


「む?!貴様ら、アルヴ族か!

 面倒な……。

 旅人証を出せ。あればこのまま通してやろう。」


 指揮官は、二人がアルヴ族と分かると、腕組みをして、少し考え込んだ。


「……故あって、旅人証はありません。私達は、その発行を求めて王都を目指しているのです。」


「無いだと?ならばこのまま通す訳にはいかんな。

 国境までは送ろう。自国にお帰り願う。」


「それはスヴァルト王との謁見次第にしていただきたいですね。私達の事情は全て王にお話させて頂きますので。」


 マリーカも、引き下がる訳にはいかないのだ。


 今頃は、もしかしたら手配が回っているかも知れない。


 ミュルク村……いや、アルヴ国で暮らす事は、もう出来ないのだ。


「ふむ。埒が明かんな。分かった。決闘だ。貴様らがその力を正々堂々と見せるなら、王都に送ろう。

 だが、貴様らがスヴァルトの流儀に反するのなら、この国から叩き返してくれる。」


「分かった!私がやります!」


 ずいっと、ユウナは一歩前に出た。


「ユ、ユウナ……?!」


「お母さん、大丈夫!私もたまには頑張らないとね!」


「ほう……。」


 指揮官は、兜を取り、その素顔を顕にした。


 長い銀髪、褐色の肌、尖った耳。


 そして、その整った顔には、自信と期待が溢れて、不敵な笑みを浮かべている。


「ユウナ、といったか?貴様は、好きな武器を使うが良い。我はこれだ。」


 褐色のエルフは、長い棒を手に取った。


 そして、その棒を曲芸の様にクルクルと自在に操ってみせた。


「んー。じゃあ、私はコレで!」


 ユウナは、拳を握ってみせた。


「ほう……。珍しい。素手か。別にその腰の物を使っても良いのだぞ?」


 褐色のエルフは、ユウナの腰に装着されているダーインスレイヴを棒で指した。


「いえ。別にあなたを傷付けたいわけではないので!」


 だが、ユウナは意に介さず、にこりと微笑んだ。

お読みいただけまして、ありがとうございました!

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