24. リトちゃんと過ごす初めての夜
前回のお話:曲線美は珍しい
今夜はリトちゃんが我が家にお泊まりです。
友達がお泊まり。
なんという魅惑的な響きなのでしょう。
家に友達がお泊まりに来るだなんて、生涯通じて初めての事です!
何だかすごくテンションが上がってしまいますね!
ちゃんと眠れるかが心配なくらいです。
「ユウナちゃん、どうしたの? なんか、すごく……笑顔? だね。」
どうやら顔に出てしまっていたようで、リトちゃんに気付かれてしまったみたいです。
「えっ……?! あっ……変な顔してたかな?! ちょっと、リトちゃんが居るのが嬉しすぎて……。」
「そ、そうなんだ……。わたし、ちょっと……緊張してる……かも。」
「えっ?! なんで?!」
緊張って……私と居るのが嫌とかだったら、ものすごくショックなんだけど?!
「だ、だって……寝相とか……寝顔とか……寝言とか……大丈夫かなって……。」
違ったみたいです! 良かったぁ~!
「……あっ! そっか! リトちゃんが居るのが嬉しすぎて、全然そんな事考えてもなかった……。リトちゃんって、すごいね!」
「えっ……? な、なにが?」
「だって、そんなふうに色々考えれるなんて。私、全然考えてなかったもん。」
「そんな……わたしなんか……そんな事ないよ。」
「えぇ〜? リトちゃんはすごいよ! 鳥の世話も出来るし、薬草とか木の実とか果物とか……植物とか詳しいし! 言法も使えるし……」
「ユウナちゃんは……言法、使えないんだよね。」
「そうみたいなんだよねー。」
リトちゃんは、小声で何かを呟きました。
(……わたしが、助けてあげるからね。)
「えっ? なに?」
「ううん……。なんでもないよ?」
そう言って微笑むリトちゃんは、やっぱり可愛いです。
なんというか、儚げで可憐といった感じです。
「そうなの? あ! そうだ! リトちゃん、防具どんなのにするの?」
「えっと……、動きやすい感じで、髪色に合わせてくれるって。」
「へー! どんなのかなぁ? 楽しみだねぇー!」
「うん。ユウナちゃんの、かっこいいし、可愛いよね。」
「そうだよね! ハーナルさん達、すごいよね! リトちゃんのも、すごく良いのが出来そうだよね!」
「わたしは、ユウナちゃんみたいに可愛くないから……。髪色も変だし……。」
「えぇっ?! リトちゃんは可愛いよ! それに、水色の髪も素敵だよ!」
「でも、わたし……村で一人だけ水色で……」
そこまで言いかけて、リトはハッとした。
リトは、髪色が違う事で、村ではずっと浮いた存在だった。
そのせいで、自分の髪色がどうしても好きになれないのだ。
そして、それは彼女の引っ込み思案な性格を作る原因の一つだった。
だが、今リトの目の前にいるユウナは、自分と同じくして、髪色が特殊なのだ。
そんなユウナに対して、髪色の話をしてしまった。
リトは、小さな罪悪感を覚えたのだ。
しかし、当のユウナには、あまり気にした素振りは無い。
「私も、皆と違って桜色だよ? リトちゃんと同じ色じゃないけど、私も皆とは違うみたいだねー。でも、私は違っても良いなって思うんだー。」
「違っても、良い……? え、なんで……?」
「えぇ〜? だって、綺麗な色だし……それに、これも個性かなって!」
「そう……なんだ。」
「うん。まぁ、お兄ちゃんの受け売りなんだけどね。」
「……え? お兄ちゃん? ユウナちゃんって、お兄ちゃんなんているの?! え……でも、王子が居るだなんて、聞いた事ないけど……」
「あっ……」
ユウナは、しまったと思って、一瞬顔を顰めたが、すぐに開き直ったようだ。
「えっとね、リトちゃん。私、前世の記憶があるんだよね……。」
「えぇっ?!」
「お兄ちゃんは、前世のお兄ちゃんだよ。」
「前世……えぇー……そ、そうなんだ……?」
「うん。前世では、13歳だったんだぁ。だから、リトちゃんと同じ歳なんだよ?」
「えっ……? じゃあ、13歳で死んじゃったの?!」
「あっ! そ、そうだね。」
ユウナは、またしてもしまったと思った。
リトが、途端に悲しそうな顔をしたからだ。
「ユウナちゃんの前世って、どんなだったの……?」
「えっとね……。生まれつきの病気だったかなぁ。病気のせいで髪色とか目も、周りの人とは違ってたし。
でね、走ったりとかも出来なかったから、友達もいなくて。だから、結構辛いなって思ってた事もあったけど……
お兄ちゃんがね、『人と違うってのが個性ってヤツだろ? 出来ない事があるのも、皆大なり小なり普通にあるぞ。出来る事とか得意な事で楽しめばいいんじゃない?』
って、言ってくれたんだよね。」
「ユウナちゃんのお兄ちゃん、優しかったんだね……。」
「うん。そうなんだよねー。ちょっと変わった人だったけどね! もし、私が結婚とかするのなら、お兄ちゃんみたいな人がいいなぁ……って思う!」
「えっ……ユウナちゃん、結婚とかしたいの?」
「えぇ〜? そうやって聞かれちゃうと……全然考えてなかった! リトちゃんは?」
「わたしは……男の人って……ちょっと怖いな……。」
「あ! だから、ダーインさんが来た時隠れちゃったの?」
「う、うん……。」
「そうなんだぁー。でも、ダーインさん、良い人だよ? リトちゃんにも武器作ってくれるって言ってたよ?
あ! そうだった。一回来てくれって伝えるように言われたんだった。」
「えっ……あっ……そ、そうなんだ……?」
「うん。だから、また一緒に行こうね!」
「一緒に……行ってくれるの?」
「もちろんだよ!」
女は話が長い、と言われるが……この二人も話題は尽きない様子で、夜は更けてく。
お読みいただけまして、ありがとうございました!
今回のお話はいかがでしたか?
並行連載作品がある都合上、不定期連載となっている現状です。ぜひページ左上にございますブックマーク機能をご活用ください!
また、連載のモチベーション維持向上に直結いたしますので、すぐ下にあります☆☆☆☆☆や、リアクションもお願いいたします!
ご意見ご要望もお待ちしておりますので、お気軽にご感想コメントをいただけますと幸いです!




