表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/101

23. 小さな恩返し

前回のお話:葉っぱはアイス


 今日も森での収穫は大量でした。


 リトちゃんは、森での収集はお手の物なのです。

 すごいなぁー。



 私はいつも教えてもらってはいるのですが、花はまだしも、葉っぱが似たような形のものが多くて、中々憶える事が出来ていません。


 ちょっとしょんぼりなのです。



 とはいえ!


 今日は、アルヴ水薬(ポーション)の薬草を自力で見付ける事が出来たので満足です!


 

 結構採れたので、お裾分けに行くのです。


 

 リトちゃんのお家に戻り、フリッカさんに色々と渡した後は、東側……ダーインさん達の職人エリアに来ました。


 「お! ユウナちゃんじゃないか! その防具、ちゃんと使ってくれてんだね! 嬉しいよ!」


 「ハーナルさん! こんにちは! どうかな……似合ってるかな?」


 

 東に着くと、ハーナルさんがいつもの様に軒下で作業をしていました。


 今日は、鹿革を(なめ)していたようです。


 

 「ああ、良く似合ってて、可愛いよ! 何せアタシらが、腕によりをかけて作った最高傑作だしね!

 お、今日はリトちゃんもいるのかい。珍しいね。」


 「あ……こ……こんにちは……。」


 リトちゃんは、なんだか少し怯えた様子でした。


 手に持つ籠で口許を隠してしまっています。


 

 「なんだい、なんだい? 取って食いやしないよ!

 どうだい? せっかくだ。リトちゃんも何か作ってやろうか?」


 ハーナルさんは、すごく気風が良く、豪快で、姐御肌といった感じです。


 それでいて、繊細な気配りも出来てしまう人です。


 さすが防具職人のリーダーという事なのでしょうか。


 

 「え……? い、いいんですか……?」


 リトちゃんは、その提案が嬉しかったようで、上目遣いに聞き返していました。とても可愛いです。


 

 「ああ。そりゃ、フリッカにゃ世話になってるからねぇ。いいも悪いも無いさ!

 ……ちょっと待ってな。ナーリ! ナーリ!」


 ハーナルさんは、ナーリさんを呼びに小屋に入って行きました。


 

 薬草、渡しそびれちゃったな。


 

 「お? ハーナルの奴が騒がしいと思ったら、ユウナちゃんじゃねぇかよ。」


 「ダーインさん! こんにちは!」


 

 「武器の調子はどうよ? 俺の最高傑作、ダーインスレイヴ。何なら手入れしてくか?」


 「調子……は、いいと思うよ! まだ、ちゃんと使いこなせないんだけど……。

 今日は、これ! お礼に持ってきたの!」


 

 「ん? お! 薬草か! わざわざ採って来てくれたのか!」


 「うん。リトちゃんと!」


 「リト……ああ、フリッカんトコの……? ありがとうよ!」


 リトちゃんは、ダーインさんが怖かったのか、完全に私の後ろに隠れて息を殺していました。



 

 「ちょっと! ダーイン! 小さい女の子をいじめてんじゃないよ!」


 ダーインさんと話していたら、ハーナルさんが戻ってきました。


 リトちゃんの様子を見てか、ダーインさんに文句を言ってしまいます。


 

 「い、いじめだと?! 馬鹿野郎! そんな真似するかってんだ!」


 「ハンッ……。どーだか。アタシは忘れてないからね!

 昔、アンタにされた事を!」


 「いつまでも根に持つ奴だな! もう200年は経つだろうが!」


 どうやらこの二人は、何やらずいぶん昔からの、因縁のライバルみたいな感じのようですね。


 

 とはいえ、喧嘩は良くないのです。


 「ハーナルさん! ハーナルさんにも、これ!」


 

 「ん? ああ、薬草じゃないかい。くれるのかい?」


 「うん! 今日、リトちゃんと採ってきたから! 工房の皆と使ってね!」


 「ああ、ありがとうね! 使わせてもらうよ!

 さ、リトちゃん。ちょっと打ち合わせしようか。おいでよ。」


 「あ、は……はい。」


 ハーナルさんは、リトちゃんを連れて、小屋に戻っていきました。



 

 「チッ! ハーナルめ。いっつもいっつも何なんだ。

 ユウナちゃん。フリッカんとこの……リトだったか。服かなんか作るのかよ?」


 「えっと、防具だと思うけど……」


 「な、なにぃー?! なんで武器じゃねぇんだ!

 今度、俺んトコにも来るように言っといてくんな!」


 「はーい!」


 そう言い残してダーインさんは作業小屋に戻っていきました。


 

 ダーインさんって、負けず嫌いだなぁー。


 でも、少しだけど、お礼が出来たのは良かったな。


 また、良い物が取れたら持ってこなきゃだね!


 

――――

――

 


 「ただいまー!」 「お邪魔します。」


 「ユウナ様、ナイ、おかえりなさい。リトちゃんも、いらっしゃい。」


 家に帰ると、マリーカさんが出迎えてくれました。


 

 ナイはいつもの様に、玄関脇にすとっと伏せをして、じっとし始めます。


 こうなると、ほとんど動きません。


 

 私は、マリーカさんに今日の収穫を渡します。


 「マリーカさん、これ!」


 「あら、薬草ですか。今日もありがとうございます。」


 「あ、マリーカさん、お母さんから、これも……」


 「卵ですか。助かりますね。リトちゃん、ありがとう。

 さ、お食事にいたしましょうか。」


 今日の晩御飯も、とても美味しく、そして賑やかでした。


 

 エルフ料理の定番といえば、野菜や木の実や花や葉で作ったものですが、今日は、猪のハンバーグみたいなものがありました。


 ジュワッとしてホロッとして、香りも良くて、最高ですね!


 


 食休みにハーブティーを楽しんだ後は、三人でお風呂!


 お風呂でリトちゃんは、マリーカさんの一糸纏わぬ姿を見て、とても驚いていました。


 

 エルフは、ほとんどの人がスレンダーな感じだそうで、マリーカさんのような曲線美の際立つ身体付きは、珍しいみたいです。


 実は私も、もう既に成人女性並にあるようでした。


 実の母……王妃も曲線美の際立つ珍しいタイプだそうで、私の将来も期待出来そうですね!



お読みいただけまして、ありがとうございました!

今回のお話はいかがでしたか?


並行連載作品がある都合上、不定期連載となっている現状です。ぜひページ左上にございますブックマーク機能をご活用ください!


また、連載のモチベーション維持向上に直結いたしますので、すぐ下にあります☆☆☆☆☆や、リアクションもお願いいたします!


ご意見ご要望もお待ちしておりますので、お気軽にご感想コメントをいただけますと幸いです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ