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見限られたんじゃない  作者: ももいろ珊瑚
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続、見限られたんじゃない

 

 二人で合うようになって半年くらいしてだったかな。

 誰もいないからって彼女の家に連れていかれて、成るようになって__以降は彼女から電話あれば、呼ばれて俺が行くってカタチ。

 彼女の家だったり、出た先で待ってるのを拾ってそのまま家に直行したり基本、二人で居るのは彼女の家だった。

 夜遅く呼び出されても迷わずそこへ駆けつけた。

 全く嫌じゃなかったよ。


 俺の部屋に一緒に来たのは1回きりさ。

 デイリーマンションで壁も薄いし、ユニットバスだし、気が削げるってことで一回コッキリになったワケで、別に俺がケチって決めたことじゃない。

 勿体無いって言うんだよ。


 デート代は男の俺持ちだから、あなたが他所で金落とすのは勿体無い。

 外で人目を気にしてちゃ、折角ふたりでいるのに時間が勿体無い、とそう言うの。



 しょっちゅう家に顔出してれば、自ずと家族とも顔を合わせる。

 交際相手と紹介される、泊まって貰った、と。

 何を詮索するでも無く、朝食が用意され、何事もなく同席して食べる。

 一人いる妹とも仲良くなった。

 親父さんにも『娘のことを宜しく頼むよ』なんて言われたりする。

 俺も真面目な顔して『はい』と答えたもんさ……



 期待して無かったって言えば嘘になるだろうな。

 後になって考えれば、何を宜しく頼まれたのか、悟れない俺が馬鹿だ。

 世間知らずとかピュアだったとか、そんなの関係無く。



そんなこんなで1年ほどした時かな。


「お見合いをしたの。」


 しがみついて泣き泣き彼女が言った、親父さんからの言いつけで仕方なく、と、だから許して、と。

 俺は納得いく答えを得るまで5W1Hを問い続けた、詰問した、弾劾した、が腹が収まる訳がなく。

 連絡をとらない日々が続く。


 彼女とのこれ迄を、一人の男として考えた。

 彼女とは、自分とは、それからあの親父のことも。


 少なくとも娘を思う親父に責められる理由はない。

 あの言動は、この年齢なら判ってくれるだろう、娘が連れてきた男なら当然のこと、そう考え、頼る意味での言葉掛けをしたに過ぎない。


 だって大学中退で水商売してる。

 だって親もなく財産もなく住む家すら用意出来ない。


 二ヶ月して連絡をつけ会った決別の日、赤いAudiから降りた彼女は、よく似合う褒めた服を着ていた。

 どこか店に入ろうとの誘いを固辞し動く様子のない俺の手に、何かを握らせようとする。

 金か?と思い払い落としたら御守りだった。


「いつか復学すると決めた時に。他は受け取ってくれないでしょ?」


「おぅ……今日で俺のことは忘れろ。」




 結婚するんだから、って去り際にスっとお小遣いを渡す or 財布に入れてくれてあったり

 私の物はあなたのもの的発想で、気遣いで

 大学辞めて今の仕事が生業になってた身には正直、有り難かったし、今でも感謝してるよ。

 言わなかったけど。

 俺のこと想っていてくれたって、ありがとな。




 なっ俺は、見限られたんじゃない!



これで完結です。


実在の人物と関係なく、なくも無い、フィクション。

私個人とは無関係です。悪しからず。

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