別にお前のためじゃない
「ありがとう……」
タオルを持ってきてくれたオウに、ミコナは、涙と鼻水で酷いことになった顔でいいました。
「別にお前のためじゃない。そんな顔でいられると鬱陶しいからだ」
背中を向けてまた棚に戻っていきながらオウが言います。
そんな様子に、やっぱり、
『ツンデレだ……』
『ツンデレやな……』
ウルとティーさんが口には出さずにツッコミを。
だけどそれでいいでしょう。これがオウなりの優しさなんでしょうから。
そうしてようやく落ち着いたミコナと、夕食の用意です。
せっかくの餃子が冷めてしまったと思うかもしれませんが、そこは、ハカセが発明した<保温器>の中で熱々のまま保たれていました。二時間くらいはその状態で保てる優れものです。
大手家電メーカーがハカセと契約して、その技術使用料が収入になってます。そのお金でこの家も建てました。ちゃんと仕事になってるんです。家電メーカーとしても、自社で開発すると大変なお金が必要だった上に売れるかどうか分からないけど、ハカセと契約すれば、開発費は要らないし、売れた分だけハカセに技術使用料を払えばいいだけなので、すごく助かるという。
まあ、その辺り、ハカセがもっと要領のいい人だったらもっとたくさんお金をもらえるようにもできるかもしれませんが、ハカセ自身がお金にはあまり興味がない人なので、家族で生活できてその上で研究費が捻出できればそれでいいと。
実際、今でも十分、穏やかに暮らせてます。
『衣食足りて礼節を知る』
という言葉もあるとおり、ミコナがいい子でいられてるのはそれもあるんでしょう。
そういうところも確認できて、
『本当によかった……』
『安心しましたで……』
ウルとティーさんもホッとしていたのでした。




