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少しでも早く大人に

午後も、休憩時間ごとに泥棒の話題で盛り上がってしまって、他のクラスからも野次馬が集まったりして先生としては気が休まらなかったでしょうが、幸い、大きなトラブルはありませんでした。


すると、授業が終わった時、ミコナが近付いてきて、


「先生、今日はすいませんでした。お騒がせしてしまって」


やっぱり、とても10歳の子供とは思えない気遣いをみせたのです。


でもそれは、彼女が、自分の身近な大人達が、ハカセやカリナが自分をすごく気遣ってくれているのを見ていたからでした。そんなハカセやカリナと同じ感じが先生からも受けたから。


そんなミコナに、先生も、


「ああ、いえいえ、ミコナさんは何も悪くありませんよ。こういうことに気を配るのは大人の役目なんです」


気遣ってもらえたことは嬉しく感じながらも、


『本当にいい子ですね…ミコナさん。いい子過ぎます……子供がこんなに大人を気遣う必要なんてないんですよ。そういうのは大人になってからでいいんです……』


とも思ってしまいます。


ママを亡くしてそれで少しでも早く大人になろうとしてるような気がしてしまって、胸が締め付けられる。


『ミコナさんは、本当に、入学した時からすごくいい子でした。入学した時にはまだお母さんが亡くなってから一年も経っていなかったはずなのに、明るくて、優しくて……それがどこかで無理がくるんじゃないかと職員会議でも話題になって。


それが今まで無事にやってこれたのが本当にすごいです。だけどやっぱり、子供がいい子過ぎるというのはやっぱり逆に望ましいことじゃないですよね……』



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