人の口に戸は立てられぬ
『泥棒が出た』
というだけでもアニマタウンでは大事件なので、こうやって騒ぎになるのは当然なのでしょう。
生徒の家の隣が現場だということで、学校の方でも職員会議の議題に上がって、経過を注視することに決まったくらいです。
担任の先生は、給食時間中、ずっとミコナの周りに集まった生徒達の話に聞き耳を立てて、心無い言葉が浴びせられたりしないかどうかを確かめていました。
学校としては敢えて触れないことでミコナの家の隣の事件だと悟られないようにという考えでしたが、『人の口に戸は立てられぬ』の喩えもあるように、どこから伝わってくるか分からないのも確かなので、こうやって話題になってしまっても、
『そういう話をしてはいけません!』
と頭ごなしに禁止もしない方針でした。ただ、もしその中で心無い言葉が浴びせられたりするようであれば、それについては適宜指導するというのも同時に考えています。
でも幸い、
「泥棒とか、怖いよね」
「人の物を盗るとか、ほんとひどい」
「自分が盗られたら嫌なのになんでそんなことするんだろう」
的な内容ばかりで、ミコナを悲しませるようなことを言う生徒はいませんでした。
それにホッとしていたのは、先生だけじゃありません、実際にその場に居合わせたルイネとエンファも同じでした。だから二人は、みんなの話に相槌を打つだけで、余計なことは言いません。
そうして昼休憩も終わり、午後の授業が始まります。
だけど<事件>のことはみんな気になるのでしょう。話自体は止まらなくて、
「はいはい、授業を始めますよ」
やっぱり先生に注意されてしまったのでした。




