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それが救いに
「ありがと……」
帰り道、サンギータが不意にそう口にしました。
『ギータちゃんは歌を続けた方がいいと思う』
ヴァドヤがそう言ってくれたことに対してのものでした。
するとヴァドヤも、
「ううん、私、ギータちゃんのお母さんだから……」
やっぱりおどおどとした感じながら、でもはっきりとそう応えます。
自分がほとんど何もしなくても、そうやってお互いを労り合うことができている二人を見て、ティーさんはとても嬉しそうに笑顔を浮かべていました。
こうやって少しずつできることが増えていくことを<成長>と言うんじゃないでしょうか。
サンギータだけじゃなくヴァドヤもちゃんと成長していってるんです。それがこうやって傍にいることで確かめられていく。
これまでの人生がとてもつらいものであったとしても、そこから先が穏やかなもの幸せなものであれば、それが救いになるんじゃないでしょうか。




