611/830
どんどん来い!
『なんだお前は。やる気か?』
そう言いつつ、シュッ、シュッ、っとパンチのようにヒレを繰り出すフカに向けて、猫のルリアは再びジャンプ。フカがさっきよりも低い位置にいたので床からのそれでも十分に届く高さでした。
けれど、フカだって当然、何もしないわけじゃありません。ひらりと体を翻し、躱します。
再度、床に降り立った猫のルリアも、このくらいでは諦めません。挑発するようにフカがやっぱりヒレをシュッ、シュッ、って繰り出してくるその動きがやっぱりたまらなくて。
ぎゅっと体中の筋肉を引き絞り、狙いをつけて、ジャンプ! フカがそれを躱して、
「来いよ! おら! どんどん来い!」
声を上げます。それに合わせて猫のルリアも何度も何度も、ジャンプ。
そうやって十回以上、全力のジャンプを繰り返したことで発散できたのか、床に降り立った猫のルリアはもう身構えることはせず、今度はスパッとベッドに座っていたカリナの膝に飛び乗って、腰を落ち着けてしまったのでした。




