手綱を握ってくれる人
そうして片付けが終わると、ハカセは早速、自分の仕事部屋に入って作業を始めました。これまでの発明のパテント料が入ってくるので慌てる必要もないのですが、かぷせるあにまる達のこともあるし、何より、ハカセは発明のための研究が大好き。生き甲斐そのものでもあります。
でも、時々、それが行き過ぎてしまうので、手綱を握ってくれる人が必要だった。
ママが生きていた頃はしっかり手綱を握ってくれていたので逆にハカセは集中できていたのですが、ママが亡くなってからは自分で気を付けないといけなかった。
これも、ミコナがいてくれたから、ミコナのことを思えば何とか抑えることができてた。自分にもしものことがあったら、ミコナはそれこそ一人になってしまうから。
お祖父ちゃんとお祖母ちゃんはいるけど、二人のところに行くとなったら、友達ともお別れすることになってしまう。
それは悲しすぎます。
もしかすると、かぷせるあにまるが想定通りにいかなかったのは、ハカセが研究に没入できなかったことも影響してるかも。
実際、ママが亡くなってからは、ハカセの発明のペースは確実に落ちていたのです。生活に困るほどではないにしても。
パテント料だけでも十分なお金にはなっても、お金の問題だけじゃありません。ハカセ自身の生き甲斐の問題でもあった。
ママの存在は、それだけ、ハカセにとってもミコナにとっても大きかったのです。
かぷせるあにまる達がどれだけママの代わりになるかは分からないけれど、いえ、かぷせるあにまる達は確かにママなんですけど、やっぱり五つに分かれてしまっていることで、『ママであってママじゃない』のも事実。
ウル達でどこまでハカセの手綱を握れるか……
でもまあ、そんな細かいことを案じていても始まらない。
ハカセは、今、できることを、頑張るだけです。
と、そこに、
「おはようございます」
お手伝いさんが来てくれました。
「おはようございます」
ハカセも仕事部屋の窓越しに応えて、家のことは任せて、研究に集中することにしたのでした。




