ミコナちゃんはいい子過ぎて
それでも、
「お父さん、お仕事大変そうだね……」
学校から帰ってきてガーやカリナと一緒に夕食を作ってたミコナがポツリとそう口にしました。
それを聞いたカリナは、胸が締め付けられるような気持ちになります。ミコナの言葉には、ハカセに構ってもらえない寂しさを抑え付けてハカセを気遣う彼女の気持ちが感じ取れてしまったからです。
『私は、この子に何を言ってあげられるんだろう……』
そう思った瞬間、ミコナを抱き締めてしまっていました。でも、すぐにハッとなって、
「ご、ごめんなさい! 失礼しました!!」
ミコナから離れて深々と頭を下げます。自分はあくまでホームヘルパー。家政婦です。ベビーシッターとかならまだしも、そういうのは自分には求められていないことをカリナはわきまえています。
だけど、ミコナは、
「あ、うん。平気。でも、嬉しかった。ありがとう」
自分が寂しそうにしていることを気にしてぎゅっとしてくれたんだと察して、お礼さえ言います。
『……本当に、いい子過ぎます。ミコナちゃん……!』
カリナはまた胸が詰まる思いでした。
この彼女から母親を奪ったのが<神様>とか言われる者だったら、その神様が憎いとさえ思います。
でも同時に、思います。
『ミコナちゃんはいい子過ぎて、何でも自分の中に抱え込んでしまうかもしれない。特に、ハカセのお仕事が忙しくて構ってもらえない時なんかには。ガーもいるけれど、私にもできることはないのかな……』
って。ミコナは、ルリアとハカセの娘。そのことについては複雑な想いもないわけじゃないけれど、この思いやりに溢れた子を守ってあげたいとも思うのでした。




