逆におかしくありませんか?
漫画やアニメならここで、
『ミコナが拗ねて問題行動を起こしてそれをハカセが叱ってお互いの絆を再確認してよかったよかった』
になるところなんでしょうけど、十年間、満足いくまでしっかり構ってもらえたミコナが、たった一ヶ月程度これまでよりは構ってもらえなくなっただけで、問題行動を起こすほど拗ねるとか、逆におかしくありませんか?
そうですね。例えば、
『十年間、構ってもらえてるように見えて実は構ってるふりなだけでミコナは本当は満たされてなんていなかった』
ということだったりしたら確かに拗ねたりということもあるかもしれません。でも、そうじゃなかった。実際に満たされてきたんです。だから少しくらい我慢もできる。
それに、こうやって自分の思い通りにならないという時にはどうすればいい?っていうのを、ミコナはちゃんと教わってきたんです。拗ねても怒っても、自分の思い通りにならないことなんていくらでもあります。ママが帰ってこないということもそうです。でもミコナは、ハカセにその気持ちをちゃんと受け止めてもらえてきたから、我慢できた。ママが帰ってこない、もう会えないというのも我慢できた。
この世界は確かに、亡くなった人の魂が帰ってくる世界です。でも、決して生き返るわけじゃない。完全に元に戻るわけじゃない。少しの間、お話ができるようになるだけなんです。
かぷせるあにまるが完成して、ルリアとしてかぷせるあにまるになれたとしても、ずっと一緒にいられるわけじゃない。それも現実なんです。
その事実に比べれば、少しの間、ハカセのお仕事が忙しくなるくらい、どうってことありません。




