自分で作りたい
正直、一人でやってた時には、ベーコンを焦がしてしまったり卵が崩れてしまったりということも多かったですけど、十歳の子がそこまでできるというだけでもすごいことでしょう。
しかも、やらされてるんじゃなくて、自分でやりたいと言って自分で始めたのですから。
でも、さすがに火を使わせるのは怖かったので、ミコナの家のコンロはIHですけど。
しかも、家自体が、ハカセが発明したAIで管理されていて、危険があればすぐに電源を切ったり報せてくれたりするものでした。
だけど、これまで一度も、そんな事態になったこともない。
実は、ハカセが家をAI制御のオール電化にしたのは、ママと結婚してすぐだったので、ミコナに料理してもらうためにしたわけでもありません。
そしてママは、ミコナが、
「お手伝いしたい!」
と言い出すと面倒臭がったりせずに、
「じゃあ、一緒にね♡」
と言ってお手伝いさせてくれた。
ママのお手伝いをしている間にもう、何が危ないのかどうすればいいのか、だいたい分かっていたのです。
そしてハカセも、そのことを知っていたから、ミコナが、
「自分で作りたい」
と言い出したのをやめさせなかった。
いくらハカセでも、そのことを知らなかったら、ミコナがちゃんとできることを知らなかったら、やらせなかったでしょう。それどころか、
『ミコナにはまだ無理だから、やめなさい』
と頭ごなしに言ってしまっていたかも。
ミコナに家のことをやらせるつもりなら、お手伝いさんを雇うことはしてなかったはずですしね。
ミコナがやりたいと言ったから、できることを知っていたから、やってもらっただけなんです。
その上で今日は、ウル達が手伝ってくれたからさらに上手くいった。
「お父さん、ご飯だよ♡」
ミコナは寝室に行って、上機嫌な様子でハカセを起こしました。
「…おはよう……」
のそりと体を起こしたハカセがテーブルに着くと、ミコナがいつも以上に上機嫌だった理由を察したのでした。




