表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
427/830

私はヴァドヤ

そうしてティーさんの言葉にサンギータの体から力が抜けていた時、ガーとヴァドヤはリビングでさめさめと泣いた後でようやく落ち着いて、ホッとしていました。


両手でガーを包むようにしつつ、泣きはらした目でヴァドヤがようやく口を開きます。


「私はヴァドヤ……あなたは、ガーって言うの……?」


問い掛けられて、ガーも、


「うん……僕は、ガーだよ……」


と口にしました。


そのとても頼りなげな細い声に、ヴァドヤはむしろ安心します。自分より弱々しいガーの様子に、精神が安定したのです。自分より弱そうな相手を見ることで。


そしてヴァドヤは語り始めます。


「私ね……あの人のことが好きだったの……あの人、最初はすごく優しかったんだよ……でも、私があの人を受け入れたら急に態度が変わって。命令とかするようになって……私、怖いのもあったけど、あの人のこと好きだったから……言うこと聞かなくちゃって思って……そしたらまたきっと優しい彼に戻ってくれると思って……


なのに、彼、子供ができたら家にも帰ってこなくなって……女の子だったのがダメだったみたい……私が男の子を生めなかったのがダメだったみたい……だけど、今度は男の子を生むって、生めるって、頑張って男の子を生もうって思ったんだ……だけど彼は帰ってこない……帰ってこないんだよ……


私、もう、どうしたらいいか分かんない……」


言いながらヴァドヤは、また涙をこぼし始めました。彼女には本当にどうしていいか分からないみたいです。分からないから、こうして怖い娘に怯えながら、一人で震えてるしかできなかった。


「ヴァドヤ……」


そんな彼女を、ガーはそっと撫でてくれたのでした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ