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私はそんなの認めない……!!

「ボク……この人に連れてこられたんだ……怖かった……でもこの人、泣いてる……だからボク、もう怖くない……この人、可哀想って思う……」


両手をぐっと握りしめて構えるようにして、ガーはそれだけを何とか口にした。そして、


「可愛そうって思う……」


もう一度そう告げて、頬を寄せる。そんなガーに、ヴァドヤはボロボロと涙を溢れさせて……


けれど、サンギータには納得できません。


「そんなの、おかしいよ……!」


こちらも拳を握り締めて、絞り出すように言って。


「サンギータはん……」


ティーさんが寄り添います。


「そんなの、絶対おかしい! こいつはこのガーってコを攫ってきたんだろ!? それって誘拐じゃん! 事件じゃん! そんなことした奴を『可哀想』ってなんだよ!? こいつみたいにちょっと自分に都合悪いことあっても泣けばなんでも許してもらえんのかよ!? そんなのおかしいじゃん! 悪いことやり放題じゃん! そんなの絶対間違ってる! 私はそんなの認めない……!!」


怒りに体を震わせ、悔しさに涙も浮かべて、感情がぐちゃぐちゃになって、それでどうしようもなくなって……


そんなサンギータに、ティーさんは言います。


「そうやな。サンギータはんの言う通りや。他所の子を誘拐しといてなんもなしってのは、おかしいと思う」


そう告げた上で、


「でも、ガーにはこのお人を恨めんかったんや。それはガーの正直な気持ちや。このお人のやったことはあかんことでも、ガーにはこのお人を恨まれへん。恨まれへんだけの事情を見てもたんや。いくらサンギータはんでも、ガーの気持ちを変えることはできんのや。サンギータはんとガーは、別の存在やからな」


とも、きっぱりと語ったのでした。



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