どうかしたのかい?
まずは家に電話を掛けたものの、
「ミコナ? どうかしたのかい?」
出たのはハカセでした。ミコナフォンからのそれだったので、ミコナが掛けてきたと思ったのでした。だけど掛けたのはティーさんで、
「いや、ミコナはんはぜんぜん元気なんでっけど、なんやオウもウルもガーも家におらんみたいなんで、どうしたんやろか思て」
「え…? そう言えばいないみたいだね。でも、別に何かあったってのは……」
と、ハカセとやり取りします。
それと言うのも、オウがカリナに口止めをしていたんです。
「必要になったらその時は言うが、それまではハカセには言わなくていい。仕事の邪魔はするな。分かったな?」
って。カリナも渋々ながら、
「はい……」
承諾してくれて。
「そうでっか。それやったらええんや。お仕事の邪魔してすんまへんな」
ティーさんはそう言って、ミコナフォンを切りました。ハカセの口ぶりで家に何かあったわけじゃないのは確認できてホッとしましたけど、何かが引っ掛かっています。
「でもまあ、よっぽどのことがあったんやったら向こうから連絡してきますやろ……」
その場はそれで納得することにしました。
「ティーさん……」
ミコナが少し不安そうに言います。それに対してもティーさんは笑顔で、
「大丈夫や。心配あらへん。こっちに連絡がないいうことは、そういうことですわ」
応えてくれるんです。そんな姿も、サンギータにとっては、
『なんでうちの親はこれができないんだろうなあ……努力努力と煩いクセに、自分は努力してないじゃんか。てか、自分がやりたいことしかしてない。それで努力とか、何言ってんだ?って感じだよな』
と思えてしまうのでした。




