自明の理
この時、ミコナが泣いたのは、オウに厳しいことを言われたからではありませんでした。
『親が先に亡くなるのは自明の理』
と言われたことが胸に刺さったからです。
確かに、親が子供より先に亡くなるのは<自明の理>なのでしょう。でも、だからって早すぎると思うのです。それに感極まってしまった。
なのにオウは、
「泣くな! 泣いたからといって困難は消えてなくならない!」
ミコナを叱責します。
「オウはん! 今のは聞き捨てなりまへんで!!」
ティーさんの怒りが爆発。猛然と飛び掛かります。けれどオウはそれをひらりと躱して、
「だが、事実だ!!」
告げました。
それに対してウルは、
「オウ! 泣いたって困難がなくならないのは事実だろう! でも、それはお前が言うことじゃない! お前がそれを口にできるのは、僕達がこうして別々になったからだ! ミコナのママは、思ってても口にしなかった! 辛い時には泣くのも大事だと思ってたからな! 人は泣くことでストレスを和らげるのも事実だ!! お前はその事実を無視してる! そして、こうやって別々になれたからこそお前はそれを口にできた事実もお前は無視してるんだ! そんなお前が<事実>を盾にするな!!」
厳しい言葉を投げかけました。
けれどミコナは、
「お願い、やめて……ケンカしないで……」
両手で顔を覆って、懇願を。
「……」
「……」
「……」
さすがにこれにはオウもウルもティーさんも黙ってしまいます。
すると、ガーが。
「ミコナを、イジメるな……!」
それまでのオドオドビクビクとした姿とは打って変わって、彼女を守るように立ちはだかって、言ったのです。
「って、ガー、普通にしゃべれまんのんか~い!」
思いがけないガーの豹変に、ティーさんのツッコミが。
でも、無理もありません。ここまでほとんどまともにしゃべってこなかったのですから。ガーは。
どうやらガーは、自分のことだとすごく臆病になるのに、守りたい誰かのこととなると変わるようですね。




