無理を強いることも
脱衣所に来ると、ミコナはささっと服を脱いでお風呂場に入ります。
そこに、ウルとティーさんとガーが続きました。けれど、フカはもちろん、オウも来ません。
オウは、
「十歳にもなったなら、一人で入るべきだ!」
と言って来なかったのです。フカはそれこそ、
「知るか! お前らで勝手にしろ!」
取り付く島もありません。
なので無理を強いることもミコナはしません。
まだ一日目です。
『自分の思うようにならないからって怒ってもしかたない』
ママも、ミコナが大人が望んでる通りにできなくても、そう言って待ってくれてました。
そのママの魂の一部を持ってるはずのフカがそういう態度を取るのは、ママにもついつい『どうして言うとおりにできないの!?』と思ってしまいがちな一面があったからでしょう。だけど、そんな風にキレることが好ましいとは思わないから、そうしなかっただけなのです。
そしてミコナも、ママがしてくれたのと同じにするのです。
だって、些細なことでイライラされるのって、いい気がしないじゃないですか。自分がそんな風にされたらイヤだからミコナもしないんです。
ママも、そしてハカセも、やっぱりそう思うからイライラした態度できつい言い方をしない。
それだけのことでした。
ミコナのことを好きな子は、みんな、ミコナのそういうところが好き。ミコナと一緒にいるとすごく気持ちが穏やかになるから。
それでも、人にはいろんな面があって、虫の居所が悪かったり体調がよくなかったりするとついつい人にきつく当たってしまう時もある。
オウやフカの態度も、つまりそういうこと。
しかもミコナは、『人はそういうもの』とちゃんと教わってるから、気にならない。気にしないようにできる。
それに、ウルとティーさんとガーが一緒に入ってくれればそれでもう寂しくありません。
ミコナとウルとティーさんとガーは、並んで体を洗います。
「♡」
嬉しさに、ミコナも自然と笑顔になっていたのでした。




