なんと不敬な!!
「どないしたんでっか?」
タムテルの姿に気付いたフカに、ティーさんが声を掛けます。
「いや、何でもない」
フカは敢えてそう答えました。そのやり取りは、ミコナとハカセには届かなかったようです。店員の女性に促されて席に向かうところだったからでしょう。だからフカもわざわざ教えなかった。
それよりも、店員の女性が、
「申し訳ございませんが、ペットロボットについては、事故防止のためにカゴに入れていただけますでしょうか? お持ちでなければ、有料になりますがカゴを用意しております」
と告げてきました。そうです。生きたペットの同伴はできませんが、ペットロボット同伴での入店は問題ないんです。ただ、急に動いたりして事故になってはいけないので、店内ではカゴに入れておくか電源を切るのがマナーとされていました。
『ま、ワイらはホントはペットロボットやないんでっけどな』
ティーさんはそう思いますけどそれは口にせず、
「はい。持ってきてます」
ハカセがそう言ってバッグから折り畳みのカゴを出してきました。
席に着いてカゴの準備をすると、ウル、ティーさん、ガー、フカ、オウの順番で素直にカゴに入ります。
とは言え、オウは、
「この俺をカゴに閉じ込めようとは、なんと不敬な!!」
って言ってましたけど。言いながら素直に入ったので、
「って、入るんかーい!!」
ティーさんがツッコミます。ある種の様式美ですね。
みんなが入ったカゴは、ミコナの隣に置いて、ミコナとハカセは向かい合って座りました。
「ごめんね」
ミコナはウル達にそう謝りますけど、
「ああ、いいんだ。これはこういうものだから」
ウルが笑顔で応えたのでした。




