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これならあまり寂しくないね

片付けを終えると、ハカセは仕事部屋に戻り、ミコナはリビングで宿題を始めました。


実は、ミコナの部屋もあるんですけど、彼女は基本的にそこにはこもりません。いつもリビングにいます。ママが生きていた頃もそうでした。ここが<家族の場所>だからです。


いつでも家族の傍にいたい。それが彼女の望み。


だけどハカセはお仕事をしないといけないので、仕事部屋の壁の一部を透明なものに変えて、仕事中もお互いの様子が分かるようにしたのでした。


そんなハカセの<想い>は、ちゃんとミコナにも伝わっています。


そして、


「なるほど、これならあまり寂しくないね」


ウルが感心したように言いました。


発明がうまく行かなくてハカセが落ち込んだ時にはお尻を叩いて励ますママでしたけど、その一方で、ミコナとの関係については実はそんなに煩く言うこともありませんでした。ハカセがちゃんとミコナのことを気にかけてくれてるのは分かっていたので、ハカセが上手くできない分は自分がやればいいと思ってくれていたのです。


だから、頑張りすぎるハカセをミコナが心配してると伝えることはあっても、


『もっと育児に協力して!』


みたいな言い方はしない。そんなことを言わなくても、ハカセはミコナのことも考えてくれてたし、なによりママの邪魔をするようなこともしませんでしたから。


脱いだものを置きっぱなしにしたりするのも、『面倒くさいから』じゃなくて、発明のことで頭がいっぱいになってるとそちらまで頭が回らなくなるだけなのです。


決して、


『ママにやらせればいいや』


みたいに考えてるわけじゃない。


それが分かるから、ママも腹が立ったりしなかったんです。


呆れてはいましたけど。


そうしてママもハカセもお互いに悪口を言い合うようなこともなかったから、ミコナも不安になるようなこともなかったのでした。



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