お手伝いさん
ミコナの家に来るお手伝いさんは、とても無口な人でした。普段もほとんど挨拶と返事くらいしかしなくて。
でも、ハカセもあまりお話とかは得意じゃないので、実はその方がありがたかったり。
ミコナも、相手が望んでなければ無理におしゃべりとかしないようにしていました。ハカセがそういう人だから、慣れているのです。
するとウルが、
「無口なお手伝いさんだね」
そう言ったけど、別にそれを批難するような言い方ではありませんでした。素直な印象を口にしただけで。
するとティーさんが、
「でも、ハカセはんにはちょうどいいんやないでっか?」
さらりと口にします。でもそれは、ハカセのこともよく知らないと言えないことのはず。
つまり、ティーさんは、無意識かもしれなくてもハカセのことも覚えているということでしょう。
「いただきます」
「いただきます」
ミコナとハカセが、揃って夕食にします。ママが生きていた頃には発明に没頭しすぎてミコナとママだけで食事にしてたことも多かったですけど、今は、ハカセも、ミコナ一人でご飯を食べさせるわけにはと考えて、ほとんどは一緒に食べてくれるようになりました。
それでも、どうしても手が離せない時には、今でもミコナ一人で食べることもあります。
だけどそれについては、ミコナの方も、
「いつもは一緒に食べてくれるから、どうしてもだったら仕方ないよ」
と言ってくれるのです。
でもきっと、ハカセがいつも一緒じゃなかったとしたら、口でもそう言ったとしても心の中では寂しい想いもしていたでしょうね。『いつもは一緒で、たまに無理な時がある』というだけだから大丈夫なんでしょう。
そして今日からは、ウル達もいる。
これでたまにハカセが一緒じゃなくても大丈夫。
ただし、
「ただし、ワイらがおるからって油断したらあきまへんで。ハカセはん」
ティーさんが釘を刺すように言ったのでした。
「はい、気を付けます……」
苦笑いをしながら頭を掻くハカセの様子を、お手伝いさんは黙って見守っていました。
実は、ハカセが一緒に食べられない時には、お手伝いさんが残ってミコナが一人で食べているのを見守ってくれてたりもしたのです。
一日のお仕事は、夕食の用意をするところまでで終わりのはずなのに。




