思いがけず生まれてしまった存在
『お姉ちゃん』
エティトはそう言いましたけど、
「え? エティトって一人っ子じゃなかったっけ?」
ルイネが思わずそう声を上げます。するとルプスが、
「ホントのお姉ちゃんじゃなくて、従姉なんだよ」
付け足してくれました。
「そうなんだ。でも私にとってはホントのお姉ちゃんみたいな人だったけどね。生まれつき病気があって、それで頑張ったんだけど、一昨年、亡くなってさ。魂はまだ戻ってきてないんだって。だから、お姉ちゃんの魂が戻ってきた時に、ちゃんとお話ししたいから、かぷせるあにまるが完成した時には、私から伯父さんと伯母さんにプレゼントしたくて。だから今年から、誕生日とかクリスマスのプレゼントは現金にしてもらうことにして、お年玉も貯めようと思ってる」
真っ直ぐにハカセを見詰めながら、エティトは堂々と言いました。彼女が本気でそう思ってるのが分かる姿でした。
「……そうか。じゃあ、頑張らなくちゃいけないね」
セイラだけじゃなく、エティトも<かぷせるあにまる>の完成を望んでいることに、ハカセも彼女を真っ直ぐに見詰めて、そう応えました。
『かぷせるあにまるが完成すると、ウル達がいなくなってしまう』
それは、他の、かぷせるあにまるの完成を望む人達にとっては関係のない話なのは、確かです。
ハカセ自身、ルリアに会いたかったのも事実ですけど、それによって他の人にも喜んでもらえたらというのも本当はあったんです。
でも、自信を持って稼働させたかぷせるあにまるにはルリアの魂は入りきらなくて五つに分かれ、ウルが、ティーさんが、ガーが、オウが、フカが生まれてしまった。
思いがけず生まれてしまった存在についてどう考えるか、ハカセには突き付けられてしまったということですね。




