恒例のイベント
エティトが間に入ったことで、
「ケッ!」
「ふん!」
フカとオウも、とりあえずは引き下がりました。さすがに子供を挟んでケンカするほど分別がないわけでもないですから。
すると、ミコナも、
「まあ、フカとオウのは、恒例のイベントみたいなものだから」
エティトに笑顔を向けてくれます。
「そうなのか? だったらいいんだけど」
エティトは申し訳なさそうに頭を掻きながら言いました。
それからちらりと研究室の方を見て、ハカセとセイラが何か真剣な表情で話し合ってるのを確かめました。
でも、ハカセの表情が落ち着いているので、ほっとします。これでもし、ハカセが困っているような表情をしていたり怒っているような感じなら、それこそ申し訳ないと感じてしまいます。
そんなエティトの傍らで、フカがピザの一切れをくわえて持ち上げ、空中でガツガツと一瞬で食べきってしまいました。
そのまるで手品のような早業に、
「お~……!」
「すげ~」
ルプスとエティトが声をあげます。
そうして「ふん!」と鼻を鳴らしながらリビングを出て行くフカを見送ったのでした。
「皆さん、お茶のおかわりはいかがですか?」
ここまで一切出しゃばることなく息をひそめて控えていたカリナが、ようやく声をかけました。
「じゃあ私、オレンジジュースおかわり」
ミコナが言うと、
「私も…!」
「私もお願いします」
ルイネとエンファが口を開くことができました。続けてエティトとルプスは、
「私はコーラ」
「私も」
と。
「せっかくだからお呼ばれしよ」
ミコナがそう言って、セイラが持ってきたピザやパスタやグラタンを、みんなで食べ始めたのでした。




