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丁度いい

アルマのお母さんも優しい人でした。実の娘のアルマのことはもちろん、ソリティのこともアルマと同じくらいに大切にしてくれて。お父さんも、仕事が忙しくて直接は構えなくても、アルマのお母さんがソリティに対して親身になることは認めてくれてます。


だからアルマも、ソリティがどんなによそよそしい態度を取っても見捨てようとは思わなかったんです。


でも、そこから先は、どうすればいいかが分からない。


無理もありません。どこまでいっても、アルマもアルマの両親も、ソリティにとっては<他人>ですから。他でもないソリティの両親が、アルマの両親に対して心を許していないんです。それどころか、お人好しな二人を、『丁度いい』とばかりに利用しているだけで。


そのことについては、アルマの両親も別に気にしてません。アルマに姉妹ができたようなものだと考えて、自分達で育てるくらいのつもりになっていましたから。


だけど、ソリティの両親の方がそうやって距離を置いていたら、そこから先に踏み込めないんです。<他人>だから。


それでも、何とかソリティの気持ちだけでもと思うけれど、<越えられない壁>があって、どうにもならない。


「いっそ、ソリティを僕達の子供として迎えられたらいいんだけど……」


夜。アルマが寝てしまった後で仕事から帰ってきたお父さんが、ダイニングのテーブルで一人顔を覆って佇んでいたお母さんの向かいに座り、そう切り出しました。ソリティのことでお母さんが思い悩んでいるのを察したからでした。


「でも、あの二人がそれを納得してくれるかしら……」


アルマのお母さんは、手で顔を覆うのはやめたけれど、テーブルに肘をついて俯いたまま、応えたのでした。



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