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あたたかな食卓

挨拶もなくただ不機嫌そうな様子で席に着いたソリティでしたけど、アルマのお母さんはそんな彼女に嫌な顔一つせず、アルマと一緒に席に着いて、手を合わせ、


「いただきます」


アルマも、


「いただきます」


と手を合わせます。なのにソリティはただ待っているだけで、何も言いません。手も合わせません。


これが、いつもの光景。


こうして食事が始まると、アルマのお母さんが、


「今日は卵が安くてね。だからオムライスにしたの」


とか、


「今日はクラウさんちのサンゴちゃんに出会ったのよ。ほら、虎縞ネコのサンゴちゃん。すっかり大きくなっちゃってね。最初、分からなかった。だけど、サンゴちゃん、「びーっ」って鳴くでしょ? それで分かったの」


とか、一人だけで一方的にしゃべり続けました。


明るいあたたかな食卓にしようとして。


でもそれは正直、上滑りしてるのは否めなかったでしょうね。


アルマは、


「へー」


とか、


「そうなんだ」


とか、生返事を返すだけだし、ソリティに至ってはそれこそ一言もしゃべらないし。



それでも、ソリティも出されたオムライスは綺麗に食べ切って、自分の分のお皿は流しに置いて、当然のようにお風呂場へと歩いて行きました。


一人でお風呂に入るのは寂しいだろうからと、彼女がまだ小さかった頃からずっとそうしてきたんです。


それに少し遅れてアルマも食べ終えて、でも彼女はお皿をそのままテーブルに置いて、お風呂場に向かい、先にお風呂に入って体を洗っていたソリティの隣に座って、アルマも体を洗い始めます。


やっぱり会話もないままに。


こうしてソリティとアルマがお風呂に入っている間に後片付けをしていたアルマのお母さんは、


「ホント、どうすればいいのかしら…」


食事の時とは打って変わって、表情を曇らせて、呟いたのでした。



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