下校時間
『そっとしておいてあげてくださいまし』
セイラに、そう釘を刺されたアルマでしたけど、でも、だからといって、見て見ぬフリもできませんでした。
休憩時間が終わって、ミコナ達が教室に戻ってきて、みんなが席についても、アルマはソリティのことを見ていました。
なのに、ソリティの方はやっぱりアルマを見ようともしません。マインを睨みつけるようにして見ているだけです。それと時々、ミコナの方も。
彼女にとって何かすごく気に障ることがあったのかもしれません。
もっとも、ミコナにとってもマインにとっても、まったく身に覚えのないことでしょうけど。
その後は、マインもいろいろとしなければいけないことがあり、ミコナに話しかけることもできず、ソリティも、自分の席に座ったまま、どこか険しい顔で、窓の外を眺めていただけなのでした。
こうして今日の授業は終わり、
「ミコナさん…!」
呼び止めようとするマインを、ルイネが、
「先生ごめんなさい、今日は急いでるから」
エンファと一緒にミコナを引っ張るようにして連れて帰ってしまいます。
一方、ソリティの方は、困ったような表情でミコナ達を見送ったマインを、やっぱり睨みつけるようにして見ていたのでした。そしてそんなソリティを心配そうに見つめるアルマの姿。
「……」
さらには、そんなアルマを、セイラが見つめていました。
それからソリティは不機嫌そうな様子のままでランドセルを背負って教室から出て行きます。
「ソリティさん、さようなら」
ソリティの姿に気付いたマインが声をかけるけれど、まるで気付かなかったかのように無視をして、帰ってしまったのです。




