模範的な解答
それは、()を含んだ計算の順序の問題でした。ミコナはそれを、順を追って式に表し、解答しました。すごく模範的な解答でした。
「はい、正解です。素晴らしいですね」
マインはとても嬉しそうに笑顔で手を合わせて声をあげました。その上で、
「この問題は、ここが、よく間違えられます。()の中が先に計算されるんです。割り算掛け算よりも先にです。それを、よく覚えておいてください」
ミコナの解答を用いて、丁寧に説明していきます。その様子がどこか可愛くて、ミコナはマインのことが好きでした。その分、ちょっと、頼りないところもあるけれど。
生徒からも、
『マインちゃん』
と呼ばれていて、威厳という意味では残念なところもありつつ。
だけど人間が完璧じゃないということを知っているミコナにとっては、それは別に問題じゃありません。マインの一生懸命さが、ミコナには尊いのです。
そんなマインが、
「それでは今から小テストを行います」
と口にすると、教室全体が、
「えーっ!」
とどよめきました。いつもの光景ですけど、ミコナは慌てません。小テストで出る問題は、彼女にとっては、何も難しくないからです。それこそ、ちょっとしたゲームのようなものでした。
他の生徒達が不満そうにしている理由が、ミコナには分かりません。でも、だからといって、彼女は他の生徒達を馬鹿にすることもありません。
自分はたまたま恵まれていただけだということを理解しているからです。それは彼女自身の努力によるものではありません 。ママやハカセが与えてくれただけのものですから。
自分の恵まれた環境を驕るという感性が、ミコナにはないんですね。




