相対、オウとフカ
こうして<かくれんぼ>を堪能したミコナとルイネとエンファとウルとティーさんとガーが仲良くなる様子を、オウとフカが見下ろしていました。
「ホントに軟弱な奴らだぜ!」
吐き捨てるフカに対して、オウは、
「あれが弱者の処世術というものだな」
とにかく上から目線でした。
するとフカは、
「てめーのそのスカした態度も気に入らねえ! なんなんだお前は!」
オウに対しても挑発的に噛み付きます。するとオウも、
「そう言うお前は何なんだ。いちいちチンピラみたいな言動。とても同じ魂から生じたとは思えん」
まるで王様が平民を睥睨するような態度で見下しました。
「あ!? ケンカ売ってんのか!? だったら買ってやるぜ!! なんかしらねーがオレはお前が気に入らねえ!!」
「そういうところがチンピラだと言うんだ! いい加減にしろ!」
フカのどこまでいっても挑発的な態度に、さすがにオウもカチンと来たようです。
そうして二体は屋根の上で睨み合い火花を散らします。
ミコナ達とは本当に対照的です。
けれどこれは、ミコナのママが抱えていた葛藤そのものでした。自分の感情を優先して気に入らないことには片っ端から噛み付きたいという本音の部分こそが、フカなのでしょう。
対するオウは、『自分こそが正しい。間違っているのはお前達だ!』と思いたいという部分なのかもしれません。
人は誰しも、綺麗なだけじゃない。あまり褒められない部分も持っています。オウとフカは、ママが普段は表に出さない、一つにまとまっていた時には抑えられていた部分が、こうして別れてしまったことではっきりと目に見える形になってしまったということなのでしょう。
「ねえ、ミコナちゃん、あれ、大丈夫なの?」
険悪なムードに気付いて見上げたエンファが不安そうに尋ねます。
けれど、ミコナは動じません。
「あ〜、大丈夫大丈夫。ほっとけば収まるよ」
笑顔で返したのでした。