お茶にしませんか?
「……」
『だって、フカ、ホントは優しいし』とミコナに言われて、フカは黙ってしまいました。
視線も逸らして。
照れくさいんでしょうね。だけど、ミコナはそれ以上、何も言いませんでした。フカにこれ以上あれこれ言うのは、きっと望んでないから。
そうして黙ったまま学校近くに来ると、
「おはよう!」
ルイネとエンファが待っててくれてました。
以前はわざわざ遠回りをしてミコナの家まで来てくれたりしてましたけど、学校から、
「回り道をせずに、決まった道を通って登下校しましょう」
と言われたのもあって、今はこうして学校近くで待ち合わせるようにしています。
ルイネとエンファとしても本当はずっと一緒にいたかったんですが、そう言われてしまったら仕方ありません。何しろ、泥棒が出たりしたんですから。
まだ、おまわりさんが道に立ってたりもします。
こうして学校が見えるところまで来ると、フカも家に戻ります。
寄り道せずに、真っ直ぐに。気になるのを見掛けても、構ったりせずに。これも結局、ミコナのためですね。自分が乱暴なことをしたらミコナが悲しむから。
「おかえりなさいませ」
家に戻ったフカを、ちょうど出勤してきたカリナが迎えます。
「……おう…」
相変わらず無愛想ながら、フカも応えてくれました。するとカリナは嬉しそうに微笑んで。
「お茶にしませんか?」
とも。これにも、フカは、
「……そうだな」
素直に応じてくれます。カリナはそれがまた嬉しくて、いっそう笑顔に。
一緒に玄関に入ると、
「おはよう。と、おかえり」
玄関掃除を始めていたウルが出迎えたのでした。




