パパとママとみんなに会えて
「美味しい……」
辛さは控えめだけど基本的にはハカセのと同じカレーを一口食べて、ミコナはそう声を上げました。
「食べられまっか?」
ティーさんに訊かれても、
「うん、食べられる。美味しいよ…!」
って、嬉しそうに。
でも、その上で、
「ガーのも、ちょっと食べさせて」
ガーが食べていた、ミコナが小さい頃に食べていたカレーも一口。
「あ~、これだ。うん、思い出した!」
頭の中に蘇る記憶。こちらも確かに<ママのカレー>です。
だけど、
「だけどやっぱり、ちっちゃい子のカレーって感じがする」
とも。正直、物足りなさも感じてしまいます。
「それだけミコナはんが成長してるってこっちゃな」
そうですね。そういうことなんでしょう。ハカセも、
「うん。ミコナも大きくなったからね……」
噛み締めるようにいいました。
ミコナは大きくなりました。成長しました。こんなに元気に、健やかに、心優しい女の子に。
「ミコナ……ありがとう……」
ハカセが不意にそんなことを。
だけど、それは、ウルや、ティーさんや、ガーや、オウや、フカも同じ気持ち。
「ミコナ、元気でいてくれてありがとう」
「ミコナはん、優しい子でいてくれておおきに」
「……」
「ミコナ、俺はお前の成長が嬉しい」
「オレは、お前が無事に育ってくれてるならそれでいい……」
オウは棚の上で羽を広げてふんぞり返って、フカはいつの間にかリビングに入ってきててテーブルについて、いつもの仏頂面で。
そんなみんなに、ミコナも、
「うん、ありがとう。私も、パパとママとみんなに会えて嬉しい……!」
満面の笑顔で応えます。
今では『お父さん』『お母さん』と呼ぶことも多くなったけど、それでも、甘えたい時には『パパ』『ママ』とつい言ってしまいます。
ちゃんと甘えることができる、あたたかな空気がここには満ちていたのでした。




