フィクションならそれこそ定番
ガーとティーさんとの激しいラリーの陰でルイネが昔のことを思い出したりしていたことを誰も知ることはありませんでした。
それでも、ルイネとしては、そんな過去を気にする必要がないと感じていたのかもしれません。
ただただこうしてミコナたちと遊んでいると、すごく楽しくて、満たされて、昔のことじゃなく、今とこれからのことを考えればいいような気がするのです。
もっとも、ルイネ自身、そこまで具体的に考えていたわけじゃありませんけど。
それでいて、気持ちは何だかウキウキして、素直に楽しめていたのは事実でしょう。
実際、ルイネに才能があったかどうかは今ではもう分かりません。もちろん今から本格的に始めてもいいんでしょうが、世界的に見ても、トップ選手の多くは本当に幼児の頃から始めていたりするので、正直難しいというのは誰もが思うところかも。
また本当に、ずっと先にスタートしていた人達を圧倒できるほどのとてつもない才能を持っているのであれば、この時点でその片鱗が見えているのでは? とも。
その点、ルイネは、ただただ普通の小学生でした。ミコナやエンファよりはちょっと上手なだけで、学校でも、ルイネより上手な人は何人もいます。
なるほど『何かのきっかけで才能に目覚める』という話は、フィクションならそれこそ定番ですし、現実の世界にも確かにそういう人もいるんでしょうから、本当にやってみないと分からないというのはあるのでしょうが 、本人の人生に関わることを、責任を負うわけでもないのにあれこれ口出しするというのは、やっぱり無責任というものなのでしょう。
そう考えれば、ハカセが口出ししないというのも当然のことなのでしょうね。




