もう分かったの?
「ふん、なにをやってるんだか」
「ガキが……!」
屋根の上から見下ろしつつ、悪態をつくオウとフカですが、だからといってかくれんぼの邪魔をするわけでもなく、見守っていました。
「99、100!」
待ち時間を数え終えて、ミコナとルイネとエンファは顔を上げます。
「う〜ん…」
三人で庭を見渡しますが、さすがにそれだけでは見付けられません。ウル達はちゃんと隠れています。ミコナ達からは。
「いないね」
ミコナが言うと、
「ホントだね」
「やっぱり体が小さいから隠れ放題だよね」
ルイネとエンファもキョロキョロと庭を見渡しながら答えました。
でも、三人で顔を見合せて、
「ぜったい、見付けるぞ〜!」
「お〜っ!」
拳を振り上げながら声を上げます。とても楽しそうでした。と言うか、実際に楽しかったのですが。
なにしろ、あんな不思議な新しい<友達>と遊べるのですから、楽しくないはずがありません。
しかもミコナには、実はもう見当がついていたのです。
テーブルに顔を伏せて数を数えていた時に聞こえた<音>で。
小さいけれど、確かに、カサカサと垣根をかき分ける音でした。
それが聞こえた方向に、ミコナはためらわずに進みます。
「ミコナちゃん、もしかしてもう分かったの?」
「なんで…?」
ルイネとエンファが、自信満々な様子で歩き出したミコナに小さく声をかけます。
「……」
そんな二人に、ミコナは唇に指を当てながら応えました。
『静かに』
ということでした。
だからルイネとエンファも手で自分の口を押さえて、ミコナに続きます。
足音をさせないようにそっと垣根に近付いたミコナの目に、小さな黄色い影が、垣根の中に。
離れたところからだと分かりにくかったけれど、こうして近付くと一目瞭然。
「ガー、見ぃ付けた♡」
「うぴっ!?」
ミコナに声をかけられて、ガーは思わず変な声を上げたのでした。