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お茶にしませんか?

カリナが紅茶を入れ、みなでお茶にします。


でも、その前に……


「どうですか? お茶にしませんか? 先輩…ルリアさんが好きだったパンケーキを、ご主人様が買ってきてくださったんです」


迎えに出たカリナにそう声を掛けられ、フカは、彼女には視線を向けずに、黙っていました。


「……」


そして、カリナが諦めて悲しそうな表情で家に戻ろうとしたその時、


「少しだけな……」


届いてきた声。


「!? はい……!」


振り向いた彼女はとても嬉しそうに笑顔でした。


こうしてようやくリビングに入ってきたフカを、


「お~! フカはん、先にいただかせてもらってまっせ!」


ティーさんがまた満面の笑顔で迎えます。


「味は昔のままだ。安心するといい」


オウも嬉しそうに言い、


「これ……」


ガーが切り分けられたパンケーキが乗った皿を二つ、フカとカリナの前にそれぞれ置きました。


「……」


フカが仏頂面なのはともかくとして、


「あ、いえ、私は……!」


カリナがすごく恐縮した様子で手を振ります。だけどそれに対してウルが。


「いいんだ。カリナももう僕たちの家族みたいなものだから、一緒に楽しみたいんだよ」


笑顔でそう言われた上に、


「……遠慮すんな。食え……」


フカにまでそう言われては、


「は…はい…っ!」


聞き入れるしかありませんでした。


ハカセも、自分でコーヒーを淹れて、寛いでいます。


そうして、みなでパンケーキと紅茶をいただきながら、穏やかな時間を過ごしました。


カリナは、自分の横でガツガツとパンケーキを貪るフカの姿に、視線は向けずに意識だけを向けながら、


『よかった……』


とホッとして。


フカがようやく、こうしてみんなと一緒にいられるようになったことに、内心、胸を撫で下ろしていたんです。


もっとも、当のフカ自身は、食べ終えると、早々に、


「……美味かった……じゃあな……」


つっけんどんな様子で、また外に出て行ってしまったんですけど。



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