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機械の洞窟

ウルは、ママのことを<ルリア>と呼びました。彼女の魂の一部を持ちながらも、記憶も持ちながらも、でも、ママとは、ルリアとは別の存在だという実感があるからでした。


『今の自分は、<かぷせるあにまる>のウルだ……』


という実感が。


だから、ママでありつつ、ルリアでありつつ、今は新しい人生を生きている。


今は、ウルとしての自分を楽しもう。そのために、こうしてハカセの買い物についてきたんです。


そしてハカセは、電気屋街へとやってきて、メインストリートから一本入った裏通りへと入っていきました。


『ああ、あの店に行くんだな……』


ウルもすぐに察します。なにしろ、ママとしてハカセと一緒に来た時にも何度も行った店ですから。


そうウルが察したとおり、ハカセは真っ直ぐ、店先に雑然となんだかよく分からない機械を山と並べた店の前までやってきて、その脇のスペースにバイクをとめたのです。


そして躊躇うことなく店へと入っていきます。


そこは、店の中までよく分からない機械が天井近くまで積み上げられて、ちょっと地震でもあったら生き埋めになってしまいそうな有様でした。なんだか、<機械の洞窟>といった風情もあります。空気も埃っぽくて、普通の人だと間違いなく入ろうとは思わない店でしょうね。


だけどハカセはまったく気にしてる様子もなく奥まで進んで、突き当りの機械に向かって、


「頼んでいたものを取りに来た」


とだけ声を掛けました。積み上げられた機械に。


ああ、いえ、機械にではありませんでした。その機械の陰で何かが動いたのです。人でした。若いのか歳がいってるのかよく分からない、厳めしい顔をした男の人。


「……」


その男の人は、返事もせずにやっぱり機械の陰から小さな箱を取り出して、自分の前にあった機械の上に置きました。どうやら人付き合いが苦手な人のようですね。



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