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2.

振り返ると、少し目にかかった癖のある髪の下から不機嫌そうなオーラを出して立っている少年がいた。不機嫌そうだかこれが彼のデフォルトの表情なので特に気にしないでおく。


「お疲れ、吹。チョコ買えた?」


「ん」


吹は奏の隣に座り、ガサガサとコンビニ袋をあさり始めた。中から板チョコを取り出しパッケージを外し始める。パッケージにBLACKと書かれている。


「遅かったね!こんなにお菓子あるんだからチョコの一つや二つ、要らなくない?」


「カカオ入ってない菓子はチョコじゃない」


全くその通りではあるのだが、吹のチョコへのこだわりは割と謎である。吹はチョコをボリボリ食べ始めた。


「納豆サイダーいる?」


「水買ってきたから要らん。つーかまた買ったのか」


「雪ちゃん飲んでくれなかった!酷くない!?吹だって飲んでくれたのにさー」


ちょっと待って、酷くない!?って酷くない!?てかまたって…。そして吹は飲んだのか…。


「普通の人飲まねぇから」


「じゃあ吹は頭おかしい人だね!」


「熱出てる時にスポドリと言われて飲んだだけn「お!遠山じゃん!」


吹が言いかけた瞬間、足元が振らついている男の人が吹の首に腕を回した。ていうか酒臭い…。まだそんな遅い時間じゃないんだけど…。


「こんな所で何してるの?あ、もしかして噂の彼女ぉ〜?遠山も朱桜もぜぇ〜んぜん飲み来てくれないからみんな寂しがってるよぉ〜?これから二次会だけど来る?そちらのお二人さんも来てさ!」


酔っ払いが私と奏の方を見て笑う。あんまりいい気分はしないような視線だ。奏はうぇぇとでも言いそうな顔をしている。


「きもちわっもごっ」


奏が言い終わる前に吹が奏の口にマカロンを突っ込む。


「えへへ、2人とも彼女じゃないですよ。僕みたいなやつが先輩みたいに女性にモテるわけないじゃないですか〜」


先程の不機嫌そうな顔はどこえやら。満面の笑みを作り吹は酔っ払いとやらに話す。声のトーンも心做しか上がり、知らない人が見たら多重人格を疑うものとなっている。これが俗に言うよそ行きモードの吹だ。


「2人とも知人の身内の方です!これから知人に会いに行くので、今日も飲み会には行けないです…」


吹は漫画でよくある(´._.`)シュンとした顔をして酔っ払いに謝罪した。


「それに…」


吹が酔っ払いの耳元に口を寄せる。内緒話のように手を添える。


「先輩、三股してるのにさらに増やそうなんてダメですよ?僕、梨花先輩にはとてもお世話になってるから、先輩が三股してること言っちゃうかもしれないですね♪」


ウイスパーボイスだがガッツリ聞こえている。数年前までよく見せてたニヤつき顔とは違い、微笑みを浮かべて楽しそうに話している。それにしても、三股ってやばいな…。吹の言葉をきいて酔っ払いが顔を青ざめる。


「お、おまっ!それどこで!じゃ、ない!頼むから内緒にっ…」


「まぁまぁ、落ち着いてください。内緒にするのはいいですよ?うーんでも、そうですねぇ...今日のこと…この2人の事は忘れてくださいね?」


可愛い後輩装ってちゃっかり注文してる吹。こんな感じの交渉術は吹が1番得意だったりする。バイト先の常連マダム直伝らしい。


「わ、わかった!絶対に言うなよ!」


酔っ払いは急いでその場を離れていった。その姿が見えなくなると満面の笑みを消していつもの不機嫌そうな表情に戻る。


「ケッ!クソ酔っ払いが!」


吹が吐き捨てるように言った。


「よかったの?ネタ出しちゃって」


「別に。あの人女癖悪いし、お前らに近づかれてに何処ぞの朱桜家の人に抹殺されるよりマシだろ。むしろ感謝して欲しいぐらいだわ。金回りいいからあーゆー態度してるだけ」


奏がマカロンを食べ終え聞くと、吹がやれやれと肩をすくめる。


「抹殺って物騒な…」


「そう?俺が少し関係あるからって事細かに近辺調査する血筋だぜ?やるときは徹底的にやるだろうなぁ」


竜と奏の家、朱桜家は裏社会で暗躍している…らしい。付き合いが長い吹はそれ関係にも巻き込まれたことがあるらしい。吹自身でも裏社会で暗躍する朱桜家について探っていた時期があったらしくやたら詳しい。ちなみに調べていた理由は、「俺ばっかりされるのは癪なので仕返し」といった内容のようだ。竜が本家の方に探り入れて無事なのはすごいと何時ぞや珍しく褒めていたが能力の使いどころを完全に間違えている。


「お前は俺の家のことを何だと思っている」


そんなことを考えていると後ろから声がした。振り向くと、度々話に上がっていた朱桜 竜がいた。

マカロンって美味しいですよね

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