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1.



大学の講義も終わった放課後。

近くの公園に呼び出された私、清水しみずゆきは指定された場所を探す。



「あっ、来た来た雪ちゃん!こっちこっち」



私の姿を見つけてベンチから手を振るのは、朱桜すおうかなで

現在高校3年生で、彼氏である竜くんの妹。

色素の薄いふんわりした長い髪を2つに結んだ姿が愛らしい小柄な少女。

いつもニコニコしていて可愛い見た目とは裏腹にこの少女、例えるなら突風のような子だ。



「グッドタイミングだね!僕も今来たところなんだ、雪ちゃん何飲む?」



隣に座ると、奏が持参していたクーラーボックスから飲み物をベンチの上に広げる。



「うーん、何にしよう。喉渇いたしなあ」


「僕、タピオカレインボージュース!あと、これはシュワシュワレモンスカッシュと納豆サイダーとかもあるよ」



一つ一つは大した大きさではないが小さい缶サイズからペットボトル、総量にすると3〜4kgくらいあるのではなかろうか。

一人の少女が他のカバンを持ちながら持つには重そうだし、他にもお菓子類が入った袋も持っているのだ。



「これ、重くなかった?」


「ううん、全然!途中まで吹が運んでくれたし」


 

吹とは、奏と私の彼氏竜の腐れ縁である遠山とおやまいぶきのことだ。

私とは同い年でひねくれたところのある彼は、なんだかんだで面倒見が良く出会った時から奏と一緒にいるところを見ることが多かった。

昔は2人とも顔を合わせれば、互いに憎まれ口を叩きしょっちゅうケンカしていたが現在はケンカはするものの頻度は減ったよう。

まあ少しは大人になったんだろうな。



「ねーねー、雪ちゃん。納豆サイダー飲んでみてよ」



無邪気に笑いながら、得体の知れない飲み物を勧めてくる奏。

この子、全然大人じゃなかった。可愛い顔して悪魔のようなこと言ってる。



「いや、私はお茶にしとくよ。吹はどうしたの?」


「吹?あ、吹はね〜、チョコがないって言って買いに行った。どこ行ったかは知らない」



飲み物を運んでくれた吹はどこかにチョコを買いに行ったらしい。

いや、見たところお菓子いっぱいあるじゃん。チョコなくても良くない?



「お菓子はね、マカロンがオススメだよ!差し入れで貰ったんだ〜♪」



今日奏に呼ばれたのもお菓子いっぱい貰ったからピクニック気分で公園に行こう!と誘いがあったからだった。

マカロンの他にもマドレーヌやカステラやらといった洋菓子から、グミとかお煎餅もあり本当にチョコだけない。



「差し入れって部活の?」


「ううん、僕バイト始めたんだよね。そこの常連さん」


「アルバイトって……」



そういえば、奏のアルバイトの件で少し前に揉めていた。



「今、楽器屋さんで店番させて貰ってるんだ。元々通ってたところでもあったから、オーナー知ってる人だし良いと思って」



現在奏は部活で軽音楽部に所属している。元々楽器好きな一面があり、殆どの楽器を弾きこなすことは出来る楽器に関しては凄い子なのだ。



「でも、お兄ちゃんが『放課後は部活もやってるのにバイトも始めたら帰りが遅くなって危ない』とか言って煩いんだよ」



そうそう、奏のアルバイトに関して家族が反対していたんだった。



「一番煩いのはママなんだけど『こんな可愛い子が店番なんてして誘拐されたらどうするの?!』とか、『お金なら沢山あるし、欲しいものがあるなら好きなだけ買ってあげるから〜!』とか頭おかしいこと言って泣くし」



お母さん、最終的に泣いたんだ。頭おかしい扱いはどうかと思うけど……言動から充分血筋は感じる。



「で、最終的に吹がバイト終わりに車で送るというところに落ち着いたのでした。めでたしめでたし」



朱桜家の揉め事に何故か介入させられてる苦労人、吹。



「何でそうなったの?」


「んー、成り行き。お母さんがわんわん泣いてるところに丁度遊ぶ約束してた吹が来て『ご心配のようなら、僕がバイト帰りに送りましょうか?』って言って一件落着。」



やれやれだったよ、と大袈裟にため息を吐く奏。


(吹って、こういう時はちゃんと奏ちゃんの味方するんだなぁ)


いつも、『それはやめとけ!』とか反対することが多いのでこういう話を聞くとほっこりする。

まあ大半は、奏が太陽光で蛙を焼いて食べてみたいとか、本当やめてくれという内容だから仕方ない。

ともあれ、外面が良く大人受けする吹の成せる技である。奏が最終的に承諾を得られたのも吹のお陰か。




「よお、待たせたな」



噂をすれば何とやら、座っているベンチの後ろから吹がやって来た。



雪…主にツッコミ

奏…トラブルメーカー

吹…面倒見は良い腹黒苦労人

竜…?


みたいな感じです


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