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転生者 二夜綾香

 私は二夜綾香。日本の何処にでもいる女子高生……だった。

 あの日、夜の帰り道私はクラスメイトだった明石君に告白された。私は恋愛とかそういうのに興味が薄くて、断った。

 そうしたら、刺された。

 お腹の辺りがずーんと熱く痛くなって私はその場に倒れてしまった。刺された少しあとに誰かが駆け寄って抱き上げたのか体の体勢が変わったのがわかったけどもう今私の体勢を変えた人の顔もわからない。なにか言ってる。


 「明石君……どうして?」


 それが私が最期に言った言葉になった。


 そして今。


 「リィン!そっちにワイルドウルフ一匹行った!」

 「オッケー!任せて!」


 私は異世界で冒険者をしている。

 不思議だよね。お腹の痛みが無くなったと思ったらいつの間にか白い部屋にいて神様とか言ってる人と話した。何でも未成年者が人生を楽しまずに死ぬのは生物としてどうなんだとかなんだとかっていう話らしく異世界転生?っていうのをさせて貰った。


 「くぅっ!」

 「リズ!」


 仲間の一人のリズがワイルドウルフに噛みつかれ怪我を負った。リズはワイルドウルフを振り払ったけど噛まれた箇所からじくじくと血が流れている。治療しないと狂犬病や破傷風になってしまう。


 「待っててすぐに治療する!《治療キュア》!」


 私がそう唱えるとリズの体は暖かな光に包まれる。するとリズの体にあった怪我はみるみるうちに塞がり、他にもあった擦り傷なども一気に治す。


 「アヤカの治療はやっぱり凄いな!さすが《聖女》様だ!」

 「もう!その呼び方はやめてっていってるでしょ!」


 転生するときに神様が私にくれたこの力、《回復魔法Lv10》。これのおかげで私はこのパーティ《ヴァルキュリア》にいさせてもらってる。正直この力に頼りっぱなしの毎日だ。


 「これで、ラスト!」


 私達のリーダーのセレスがその身の丈ほどもあろうかという両手剣でワイルドウルフを両断する。これで、戦闘終了。

 

 「お疲れさま!」


 私は皆に声をかける。


 「ああ、お疲れ。アヤカ、回復ありがとうね。あれがなかったらちょっときつかった」

 

 さっき治療を施したリズが私にお礼をいってくる。


 「そ、そんなことないよ!私にはそれしかできないから」

 「全く素直じゃないねぇ、そういうのは『ふふん!まぁね!』なんて言うものだよ!」


 冗談めかして言うリズの言葉にクスリ、と笑いながらセレスに話しかける。


 「セレス、これからどうするの?討伐数は調度いいくらいにやったと思うけど」

 「そうだな……そろそろ帰還するか……ん?」


 突然セレスがなにもないはずの一本の木を見つめる。


 「どうしたの?」


 私は不安になり話しかける。


 「いや……視線を感じたんだがな……何でもなかったようだ」

 「ふうん……そんなこともあるんだね」

 「まぁ、な一応警戒はしながら帰還しよう」

 「わかった!みんなー!きょうはもう帰ろう!」

 「「「おおー!」」」


 ヴァルキュリアは五人パーティ。残り三人の返事を聞いて私達は街に帰還し始めた。


 後ろでかさり、と木が揺れたことには気づかなかった。


 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 「驚いたな……」


 まさか視線で勘づかれるとは。


 僕は二夜さんを見つけてから一週間、彼女とそのパーティを監視(ストーキング)していた。その間に遭遇する魔物や動物を実験台に僕の能力を確認していた。


 拷問スキルは相手の急所が分かりやすくなっていた。また、どこが苦痛を与えやすいかもすぐにわかった。


 気配遮断スキルはほとんど僕という存在が感知されなくなった。《ヴァルキュリア》が狩っていたワイルドウルフとかいう狼の魔物の隣に立っていてもワイルドウルフには気づかれなかった。


 だというのにあのセレスとかいう女には気づかれた。


 「レベルや経験か……?」


 だとすれば厄介だろう。僕の気配遮断が通じないとなるとストーキングの方法も考え直さなくてはならない。


 「レベル、か」


 とにかくレベルを一度上げてみたほうが良いだろう。そう結論をだし僕は森の奥地へと歩を進めた。

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