表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

4 サブタイトルだけ~オルツィ『紅はこべ』と少女漫画

かなり古い作品ですが、多少ネタバレがあるかもしれません。


 私の【ノート】に書かれているのは以下のサブタイトルだけです。

 そうです、この歴史ロマンはとても面白くて、サブタイトルを見るだけで、当時はワクワクしたんですよね。今もですが……。

 1905年にイギリスで出版されたそうです。古い……。ですが、古さを感じさせません。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


◆オルツィ『紅はこべ』


01 パリ 1792年9月

02 ドーヴァー<漁師の宿>

03 亡命者たち

04 紅はこべの組織

05 マルグリート

06 1792年のおしゃれな紳士

07 秘密の果樹園

08 全権大使

09 奇襲

10 オペラボックスで

11 グレンヴィル外相主催舞踏会

12 一枚の指令

13 あれか-これか

14 正一時!

15 疑惑

16 リッチモンド

17 別れ

18 不思議な模様

19 紅はこべ

20 同志

21 サスペンス

22 カレー港

23 希望

24 死の罠

25 鷲と狐

26 ユダヤ人

27 追跡

28 ブランシャール神父の小屋

29 罠にかかって

30 帆船

31 脱出



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 この作品は、フランス革命直後のフランスとイギリスを舞台にしています。

 『紅はこべ』というのは、フランスの貴族の亡命を助ける秘密組織の名前です。

 日本では白い花びらの<はこべ>が道端に咲いているのは見かけますが、赤い<はこべ>は見たことはありません。白い<はこべ>を見るたびに、『紅はこべ』を思い出すのは私くらいなものでしょう。

 筋から逸れましたが、主人公マルグリートは夫であるイギリスの貴族サー・パーシー・ブレイクニー卿とは、ある事件をきっかけに溝ができてしまっています。

 そんな中、マルグリートが偶然夫の秘密を知り、夫の危機を助けようと自ら行動を起こし始めます。夫のほうも彼女を誤解していたことがわかり、夫婦間の愛情が戻るまでを描いています。

 その過程で繰り広げられる<紅はこべ>を追い詰める側との駆け引きや、冒険活劇風のストーリー仕立てがとにかく面白いのです。ハラハラする展開もそうですが、多くの女性が好むと思われる美形の貴族、秘密、ロマンス、義賊、パリ、イギリス、フランス革命、などのキーワードがすべてあてはまるのです。お話にハマらないわけありません。


 そして、【ノート】には文章などは書いていないのですが、『紅はこべ』を思い浮かべると必ずこの少女漫画もセットで思い出されるのです。

 この『紅はこべ』という作品が、ある少女漫画と似ているとずっと思っていました。

 それが、上原きみ子『マリーベル』です。今回このエッセイを書くにあたり、調べましたら、本当に影響をうけていたようで、納得できました。

 『マリーベル』の時代背景もフランス革命前後、主人公マリーベルもマルグリートと同じコメディーフランセーズという王立劇団の舞台女優の設定、兄もフランスの革命家のサン・ジュスト、後半は彼女を愛する青年貴族が彼女の命を救うため<紅はこべ>のような秘密組織を率いて、貴族の亡命を手助けするのです。

 似たような設定ではありましたが、『マリーベル』自体がとても面白く、素晴らしい作品です。

 孤児という境遇でも、明るくひたむきに生きようとするマリーベルの姿は共感できますし、彼女に関わる男性たちも、当時の時代背景もあり、さまざまな壮絶な愛し方を見せてくれます。

 当時、私のまわりでこの漫画がはやりまして、友達同士で読んでいたのですが、意外にも実在した革命家であり政治家だったサン・ジュストが人気でしたね。この作品の中で良い感じに描かれていました。最後はマリーベルの初恋が実り、ハッピーエンドです。 


 『マリーベル』の他にも同じフランスを舞台にした、木原敏江『アンジェリク』も好みでした。原作はアン・ゴロンという作家の長編小説の一部を、木原敏江が独自の設定で漫画化した作品です。

 こちらはルイ14世の時代のお話で、フランスの田舎の男爵令嬢アンジェリクが主人公です。美形で素晴らしい伯爵と結婚して幸せな生活を送る中、貴族や王の陰謀に巻き込まれて窮地に立たされます。悲しみながらも前向きにたくましく行動し、夫との幸せを取り戻すまでが描かれます。

 アンジェリクを愛する男性3人が登場しますが、彼らの個性が見事に表現されていて、それぞれの生きざまを見せてくれます。原作とは多少設定は違っているようですが、木原敏江の『アンジェリク』として楽しめます。


 漫画ですから、絵の好みはあると思いますし、かの池田理代子の『ベルサイユのばら』のような強烈な印象は無いかもしれませんが、どちらも少女漫画の名作だと思っています。

 蛇足ですが、『紅はこべ』も木原敏江の『アンジェリク』も、宝塚歌劇団で舞台化されたようです。いかにもの内容ですからね。


 

 【ノート】とは関係のない少女漫画の話まで書いてしまいましたが、思い出は尽きません。

 小学生の頃、父に読書をすすめられ本屋で最初に買ってもらったのが、少年少女文庫のような中のこの『紅はこべ』とアルセーヌ・ルパンシリーズの『奇巌城』でした。当時はあまり面白く感じた記憶はありませんでしたが、今思うと父の選択は大あたりだったんです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  サブタイトル!  私は、洋画のDVDのサブタイトル好きなんですよね。  海外ドラマの一話ごとのもいいですけど。  CDの曲目を見るのも好き。  どの曲が楽しみか、タイトルでわくわくしたり…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ